会議の負荷が高すぎることは現実的な問題であり、誰もが、自分の仕事を邪魔するようにカレンダーを埋めつくすビデオ通話や、確認の打ち合わせや、動画によるミートアップなどから逃れたいと思っている。
ここで出てくる疑問は、非同期コミュニケーションを使えばこの問題が解決するのかということだ。
IT企業は、非同期の動画やメッセージングには効果があると考えているようだ。いくつか例を挙げてみよう。
- Ciscoの「Webex」には、非同期の動画を送るツールや、ミーティングで参加者が発言しているかどうかに関する情報を得るためのアナリティクス機能が用意されている。経験則としては、会議で発言していない人は、その会議に出席する必要はない場合が多い。Ciscoが10月に発表した「Hybrid Work Index」によれば、会議に参加している人の48%は発言していなかったという。
- Zoomは、「Zoom Phone」にビデオボイスメール機能を、「Zoom Whiteboard」に非同期機能を追加した。
- Salesforceの子会社であるSlackは最近、Slackのチャネルやダイレクトメッセージで音声、動画、画面の録画を共有できる機能である「Slack Clips」をリリースした。
Salesforceの最高執行責任者(COO)兼プレジデントであるBret Taylor氏は、会議疲れの問題について次のように述べている。
「Zoom疲れ」についての記事を読むと、それが起こるのは、誰もがミーティングや会議ルームについて話題にしており、ビデオ会議に移行すれば、それでデジタルトランスフォーメーションだと思っているからだということが分かる。だがそのやり方では、1日が終わる頃には疲れ切っており、しかも仲間とのつながりが深まっているとは感じられない。例えば朝のスタンドアップミーティングであれば、非同期で行って、それぞれが好きな時間に見ることもできるはずだ。そうなれば、従業員は柔軟に非同期で仕事を行えるようになる。分散して働く従業員の管理に成功しているリーダーに話を聞くと、「非同期」という言葉をよく耳にする。これは、異なるタイムゾーンにまたがって、多様な人員配置計画で人材を生かし、多くの都市で人材を獲得するのに有効だからだ。だがそれは簡単なことではない。