海外コメンタリー

合成データやAIアバターでさらなる進化、NVIDIA「Omniverse」で広がる可能性

Stephanie Condon (ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2021-11-12 06:30

 多くの企業が仮想世界をビジネスや業務に生かすための準備を進めている中、NVIDIAは、さまざまなワークフローを仮想空間にも拡張するためのプラットフォームである「Omniverse」をパワーアップさせようとしている。NVIDIAは、自社イベント「GTC 2021」で、Omniverseに関する最新の取り組みとして、人工知能(AI)アバター作成ツールである「Omniverse Avatar」と、合成データ生成エンジン「Omniverse Replicator」を発表した。

Omniverse Replicatorの応用例
「Omniverse Replicator」は、AIアプリケーションの深層ニューラルネットワークをトレーニングするために使用する、物理的に正確な合成データを生成するシミュレーションフレームワークだ。
提供:NVIDIA

 同社がOmniverseのオープンベータ版を公開したのは2020年12月だった。これは、Facebookが社名を「Meta」に変更して「メタバース」のコンセプトを前面に押し出したタイミングよりも1年近く早い時期だ。Omniverseは、3Dデザイナーが異なる場所からさまざまなソフトウェアを使ってコラボレーションを行うことができる共有仮想世界を提供する。

 Omniverseは、2020年12月にオープンベータ版が公開されて以来、7万人以上のクリエイターにダウンロードされているほか、BMW Group、CannonDesign、Epigraph、Ericsson、建築会社のHKSやKPF、Lockheed Martin、Sony Pictures Animationなど、700社以上の企業のプロフェッショナルに使用されているという。

 NVIDIAのOmniverse開発者プラットフォーム担当バイスプレジデントRichard Kerris氏は先週、記者会見で「仮想世界は次の時代のイノベーションに必要不可欠だ」と語っている。

 Omniverseではこれまで、主に「デジタルツイン」の構築に焦点があてられてきた。デジタルツインとは、物理的な存在をデジタル的に正確に再現したものだ。NVIDIAのシミュレーション技術およびOmniverse担当バイスプレジデントを務めるRev Lebaredian氏は、デジタルツインの概念について、次のように説明している。

 「私にとってデジタルツインは、基本的に、現実世界に存在するものを仮想世界で再現することによって、私たちがスーパーパワーを得るための手段だ。正確な複製を作り、(中略)…世界がどのような振る舞いをするかをシミュレートすることができれば、素晴らしいことが実現できる。自分の工場を再現したものや、地球のモデルや、自動車が動き回る都市の複製があれば、その世界のどこにでもテレポートして、自分がそこにいるかのようにそれを感じ、見ることができる。またシミュレーションを行うことによって、タイムトラベルも実現できるかもしれない。過去に起こったことを記録しておいて、工場や道路上で起こったことを再生することもできれば、時間を早送りして先のことを見られる可能性もある。また、ただ未来に飛び込めるだけでなく、この世界の中のパラメーターを変更することで、別の未来に行くこともできる。これを利用すれば、より明るい未来を計画したり、ビジネスを最適化したり、自分たちの手でより良い地球や未来を作り出すこともできるだろう」

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

マイナンバーカードの利用状況を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]