Salesforceは米国時間2月16日、持続可能性を同社のコアバリューの1つに掲げ、気候変動の取り組みに一層注力することを発表した。幹部、サプライヤー、顧客がそれぞれのカーボンフットプリントに対する説明責任を果たせるように取り組んでいく。
顧客のカーボンフットプリント測定を支援するために、同社の「Net Zero Cloud 2.0」を世界で一般提供する。Net Zero Cloudは、さまざまな業界の企業が持続可能性に関するデータを追跡、報告し、大気から排出量と同量の二酸化炭素を除去することで、組織として「ネットゼロ」を達成できるようにするものだ。
持続可能性に向けた対策を重視する企業が増えており、Salesforceの取り組みもそうした業界の大きな流れを反映している。企業に対してカーボンフットプリントの削減を求める、従業員、投資家、顧客、規制当局からのプレッシャーが高まっている。
Gartnerは2021年、次のように指摘している。「組織がESG(環境・社会・ガバナンス)基準を満たさなければならない圧力は、多くの財務担当者が認識しているよりも広まっている。2020年に、投資をする際にESG要素を考慮するという投資家は85%に達した」
つまりクラウドサービスプロバイダーは、自社の持続可能性の取り組みを通じて、実業界における評判を高めることができる。そして「気候変動の説明責任」を果たすためのツールを提供すれば、新たな収入源につながる可能性もある。
Salesforceは、「気候変動の説明責任が求められる新時代を迎えた今、企業の二酸化炭素排出に関するデータは、財務データと同様に信頼できるものでなくてはならない」としている。「また組織は、信頼できる有意義なやり方で排出量を削減する方法を知る必要がある」(同社)
Salesforceは独自の取り組みを有意義なものとするため、「サステナビリティー」を信頼、カスタマーサクセス、イノベーション、平等などと並ぶコアバリューに据えている。同社はこのバリューをさまざまなステップでビジネスに組み込んでいる。例えば、サプライヤーは「Sustainability Exhibit」の要件を満たさなければならない。さらにSalesforceの役員報酬プログラムはESGイニシアチブの成功と結びついている。
Net Zero Cloud 2.0は、新しいレポーティングツールとサプライヤー管理ツールに加え、分析・予測機能で刷新されている。Tableauのアナリティクスやダッシュボードを組み込み、ネットゼロに向けた組織の最速なパスを視覚化している。
SBT(Science Based Targets)に沿った目標を設定し、その進捗を測定できる。また、サプライチェーン全体におけるサプライヤーの排出量である、スコープ3の排出量も追跡できる。これはバリューチェーン排出量とも呼ばれ、米環境保護庁(EPA)によると、組織の温室効果ガスの総排出量の大部分を占めることが多い。
Salesforceが提供するこのSaaSツール以外にも、大手クラウド企業はそれぞれ独自の新製品を展開している。
Googleも16日に「Carbon Sense」スイートを発表した。企業が二酸化炭素排出を正確に理解、報告し、削減するための一連の機能が用意されている。スイートには、組織の「Google Cloud」の使用による総炭素排出量を測定する「Carbon Footprint」などが含まれている。また、企業がワークロードを実行する際によりクリーンな地域を選択できるように、二酸化炭素の排出量が少ないリージョンを示すアイコンも表示する。
さらに、「Active Assist」という新ツールが持続可能性に関する推奨事項を提案し、クラウド利用による炭素排出の削減を支援する。
また、Microsoftも14日、「Emissions Impact Dashboard(EID)」ツールの対象を「Microsoft 365」に拡張したことを発表した。これにより組織はMicrosoft 365アプリケーションの使用による温室効果ガスの排出量を定量化できるようになる。これは同社が2020年10月に、EIDを「Azure」向けに拡張したことに続くものだ。Microsoftによると、Microsoft 365向けのEIDプレビューは、「Microsoft Cloud for Sustainability」の一般提供に先立つものだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。