4GBのRAMを搭載する「Raspberry Pi 5」よりも10ドル安い2GBモデルが発売されたことを受けて、予想通り、2GBのRAMで十分なのだろうか、という疑問の声が上がっている。
ほかのほとんどのことと同様、それは用途次第だ。
筆者は新しい2GBのRaspberry Pi 5と4GBモデルおよび8GBモデルの比較テストを実施した。RAMの容量、そして、2GBモデルが新しいD0プロセッサーステッピングを使用していることを除けば、これら3つのモデルのハードウェアに違いはない。
2GBのRaspberry Pi 5には、ハードウェア面でいくつかの違いがある
提供:Adrian Kingsley-Hughes/ZDNET
最初のテストでは、大きな違いは確認できなかった。3台とも起動時間は約22秒で、コールドブートでの再起動時のRAM使用量もほぼ同じだった。具体的には、2GBモデルのRAM使用量は約630MBと最も多かったが、4GBモデルと8GBモデルはどちらも570MB前後だった。
バンドルされているさまざまなアプリの読み込み時間も体感的には全く同じだった。アプリの読み込みに要する時間に数分の1秒の違いはあったが、3台とも同じように感じた。
3台のRaspberry Piボードで、プロセッサーに高い負荷がかかる「Hashcat」というパスワードクラッキングユーティリティーを実行したところ、ハッシュ計算の速度(と高負荷時のボードの発熱)に大きな違いはなかった。
そこで、筆者は最強のコンピューターをも屈服させる強力な武器を取り出した。
それは、ウェブブラウザーのタブだ。
このテストで、ようやく違いが現れ、2GBのRaspberry Piの弱点が露呈し始めた。
筆者は、「Firefox」と「Chromium」ブラウザーを使用して、世界で最も人気のあるウェブサイトを同時にいくつ開けるか試してみることにした。
5つのサイトを読み込むと、2GBモデルで遅延が発生し始めた。タブが10個に達した時点で、2GBモデルはほとんど使い物にならなくなったが、4GBモデルと8GBモデルはこの負荷を問題なく処理し続けた。
さらに負荷をかけ続けたが、18個のタブが開かれた時点で、2GBは屈服して、応答しなくなった。4GBモデルも少し苦労したが、8GBモデルは負荷にうまく対処していた。
さらに負荷をかけると、4GBモデルは30個のタブを開いた時点で応答しなくなり、8GBモデルでも遅延が発生するようになった。
タブの数が40個に達した時点で、テストを終了した。8GBモデルはまだ動作していたものの、負荷の影響が顕著に現われ始めていた。
これは現実的なテストなのだろうか。いや、全く現実的ではない。その結果もロケット科学のように難解なものではない。結局のところ、RAM容量が多ければ多いほど、RAMを大量に消費するタスクを容易に処理することができる、というだけのことだ。
それでは、どのモデルを選べばいいのだろうか。
RAMを大量に使用するタスクをあまり実行しないことが確実な場合でも、10ドルを節約することが経済的に妥当かどうかは分からない。高負荷のタスクを実行するのなら、8GBのRaspberry Piを選んだ方がいい。
4GBモデルはRaspberry Piは一般的なユーザー向けの選択肢、2GBモデルはより低負荷のワークロード向けの選択肢、8GBモデルはRaspberry Piで処理できるあらゆるワークロード向けの選択肢と考えるといいだろう。
箱に入った状態の真新しいRaspberry Pi 5の2GBモデル
提供:Adrian Kingsley-Hughes/ZDNET
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。