エンタープライズソフトウェアカンパニーであることが価値--日本オラクル

聞き手:山下竜大(編集部)
構成:佐々木紀行(ロビンソン)
撮影:赤司聡 2006年01月01日 04時30分

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さらなる飛躍を目指し着々と準備を進めた2005年

 日本オラクルにとって2005年は業績が順調に伸びた1年となりました。さらにOracleにとって経営統合の話が次々と出てきた非常に重要な年でもありました。日本の産業全体を振り返っても、2005年後半は急激な株価上昇もあり、経済自体が非常にポジティブに動いていたのではないでしょうか。景気動向を示す数値も着実上昇傾向にあり、2006年に向けて期待を持ちながら年末を迎えることができました。

 日本オラクルの事業分野別に見ると、2005年はアプリケーション分野が大きく伸びています。ビジネスをさらに拡大していく体制も整備できたので、今年はさらなる飛躍を目指します。ミドルウェア分野では、実際にマーケットインしている製品がほとんどなかったのですが、2005年1月から組織面で着々と準備を進めてきた成果があらわれ始めています。

 他社制ミドルウェア製品と比べても、Oracle製品の価値が高いことも分かりましたし、あとは採用実績と稼働実績を積み重ねていければと思っています。ミドルウェア分野に関しては、我々のシェアはいまだ小さいのが実状。しかし、今後大きく成長できるチャンスも大きいわけです。

日本オラクル 代表取締役社長 最高経営責任者 新宅正明氏

 日本オラクルは、2003年から3カ年中期経営計画「Oracle Japan Innovation 2003」のもとでOracleの強みや価値をいかに活かしていくかをテーマにして取り組んできました。期間としては、まだ半年間残っていますが、私の中ではこの取り組みは終了したと考えています。今はこれから先のことをあらかじめ考え、進めていかなければならない時期です。

 3カ年計画自体は、100点満点ではないにしろ及第点をあげられると思います。それぞれの事業部門の収益性も上がりました。アプリケーションやミドルウェアなどの新領域をもう少し早く拡大させたかった、という課題も残りましたが、この点は2006年に期待しています。

ユーザー層の拡大し、ビジネスをさらに深める

 2005年は日本オラクルにとって経営統合が大きなテーマとなりました。とはいえ、従来のビジネスパートナーということもあり、大きな変化はありません。ただし、グループ全体で考えるとPeopleSoftやSiebelの経営統合により事業戦略が大きく広がり、ERP(エンプロイーリレーションシップ管理)やCRM(カスタマーリレーションシップ管理)からのアプローチが新たに加わります。

 今後は、両社の製品と当社の製品を組み合わせた形で、日本国内にどのようにマーケットインするかということをユーザーにもしっかり伝えていかなくてはなりません。

 経営統合の最大の効果は、統合先のエンドユーザーのOracleに対する意識が変わることではないでしょうか。たとえば、約300社以上のPeopleSoftのエンドユーザーが、PeopleSoft製品をOracleグループ製品として認めて頂けるようになりました。

 今後は、異なる分野でも色々とビジネスが増える可能性もあります。ユーザーが増えるというのは、色々な相乗効果を生み出します。日本オラクルとしては、ユーザーの層が広がり、ビジネスをさらに深めていけるチャンスと捉えています。

2006年は企業経営の質が大きく変化する

 2006年は日本版SOX法の基本的な方針が早々に決定されるため、企業の置かれている環境そのものが大きく変化する年となるでしょう。つまり、企業は内部プロセスと情報システムの活用領域を再整備が迫られるわけです。「情報の統合」や「プロセスの統合」を言葉ではなく、仕組みで欲しがるようになります。これは企業経営の質が変化することであり、我々にとっては大きなビジネスチャンスともいえます。

 日本版SOX法の最大の特長は、明示的にITの活用が盛り込まれている点です。経営陣は財務会計情報を監査する立場にもなるのですから、どのようにして作成されたかをしっかりトレースできなければなりません。つまり、ITを漠然と「使っている」のではなく、「このような方法で使っている」ということを証明していく必要があるのです。これはどの企業も整備していかなくてはなりません。

 日本オラクルとしては、このような内部統制という課題に対しデータベースやアプリケーションの話に留めず、ミドルウェアというインフラ整備の話にどう展開していくかが重要なポイントになります。おそらく2006年は、企業におけるプロセス再生と価値創造という流れが急速に加速してゆきます。そのとき、当社がそのニーズを掴んでいければ、変化を望むお客様から信頼されるでしょうし、その期待に応えることもできるはずです。

日本オラクルの価値は「エンタープライズソフトウェアカンパニー」であること

 日本オラクルの次なる目標は、データベースに頼りすぎているブランドイメージやビジネスを、いかに「エンタープライズソフトウェアカンパニー」へと変えていけるか、という点です。

 「日本オラクルの価値は?」と聞かれたら「データベースではなく、アプリケーションやミドルウェアを含めた総合力」と自信を持って答えられる企業にしていきたいと思っています。アプリケーション、ミドルウェア、そしてデータベースのそれぞれの事業を拡大させてゆくことが、日本オラクルの成長性を高め、企業価値を最大化できる方法だと確信しています。

 ただし、この目標は我々の力だけでは実現できません。日本オラクルの強みは、パートナー企業と共に築き上げるソリューションの中で、さまざまな成功事例を提供していける点であり、今後もパートナー企業との協業が大きな鍵を握っています。現在、パートナー企業にとって日本オラクルは非常に重要な存在として認知してもらえるようになりました。

 しかしそのニーズは、やはりデータベースを中心とした領域に多いのが現状です。これからはデータベース以外の領域であるアプリケーションやミドルウェアなどを含めたオラクル製品群全体をバーティカルに扱ってもらえるようにアプローチしていかなくてはなりません。そして、ITと経営の融合が進む中、当社においても上流からのアプローチを専門的に手掛けるコンサルファームとの提携や協業も既に積極的に進めています。

 その一方で、日本オラクルの価値を自らの言葉で説明することも大切な要素です。パートナー企業との協業と共に内部のコンサルティング力の強化も進めていく予定です。

 既に述べたように、2006年は内部統制やコンプライアンスといった経営に直結する課題が表面化してくるでしょう。その流れにおいて、情報システムの投資に対する経営者の責任も問われるはずです。それは、我々を含めたIT業界にとっても良いインパクトになります。エンドユーザーのITに対する考え方を変えていける可能性が高いからです。

 まずは、経営者のTo Doリストに課題として盛り込まれることが先決。そして、その課題を解決しようとした時に、IT業界からのメッセージがエンドユーザーに届いていることが重要なポイントになります。アプリケーションからデータベースまでをカバーできる我々はメッセージが伝えやすい。2006年は今まで以上に、日本オラクルの真価を発揮できる年になると確信しています。


新宅正明(しんたく まさあき)
日本オラクル 代表取締役社長 最高経営責任者
2006年は新たな趣味に挑戦しようと目論んでいる。ひとつは囲碁。碁盤の上で繰り広げられる攻防に人生の縮図を感じるという。もうひとつが茶道。家元の友人に強制的に入門させられることになり、意を決し新たな境地に足を踏み入れる予定だ。「今まで知らない世界を経験することで、自分自身に多様性を身につけ、新たな価値創造に役立てたい」と意気込む。2006年はどの企業にも大きなチャンスが訪れると公言して憚らない新宅氏。「是非、チャンスを掴み取りましょう」とエンドユーザーやパートナー企業へメッセージを送る。
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