オープンソースソフトウェア(OSS)のデータベース(DB)と言えば、「MySQL」と「PostgreSQL」が有名だ。しかし米企業によるワールドワイドの調査の利用シェアではPostgreSQLが11%、MySQLが40%となっており、MySQLと対抗する勢力として「Firebird」が39%ものシェアを獲得しているという。
そのFirebirdは2006年11月に新版となる2.0をリリース、そして2007年3月にバグフィックスがメインとなる2.0.1がリリースされたばかりだ。それを記念して「Firebird日本ユーザー会」が日本では初めてのイベントとなる「1st Firebird Japan Conference」を4月14日に開催している。
オープンソースDB御三家
イベントの冒頭で、現在Firebird日本ユーザー会の理事長を務めている木村明治氏(キムラデービー代表)は、「OSSのDBと言えば、イメージだと“MySQLとPostgreSQLが50%ずつ”になっている」と話す。しかし、木村氏は先に挙げた米企業のワールドワイド調査に触れて、「これからは、Firebird、MySQL、PostgreSQLの3つを“オープンソースデータベース御三家”と呼んでもいいのでないか」と呼びかけている。
木村氏の説明によれば、Firebirdはブラジル、ロシア、インド、中国のいわゆるBRICsで使われていることが多いという。実際に木村氏が参加したFirebird関連では「ブラジルでのイベントが一番大きく、参加者は600人だった」(木村氏)と説明している。また、ブラジルでのイベントはエンドユーザーに近い技術者がメインだったが、東欧のチェコで開催されたイベントには、Firebird開発のコアメンバーに近い技術者が参加していたという。
64ビットに対応する2.0
2.0がリリースされたFirebirdだが、その性格について、Firebird日本ユーザー会の加藤大受氏は「2.0は、Firebird Projectが生み出した、新しいRDBMSと言える」と説明する。Firebirdはもともと米Borlandが開発するDB「InterBase」のOSS派生版であり、「Firebird 1.xはInterBase 6.0の印象が強かった」(加藤氏)からだ。
その特徴は、64ビット(AMD64/Intel EM64T)に対応していることだ。現行の2.0で64ビット版Linuxをサポート、64ビット版Windowsには、次期2.1で対応する予定となっている。
また2.0では、データベースファイルの形式であるODS(On Disk Structure)がversion 11に変更されている。これにより、252バイトのインデックス制限が撤廃となり、インデックスサイズがページサイズにまで拡大可能となっている。また、インデックスページへの物理データ格納を廃止し、インデックスはレコード番号を保存するという仕組みに変更されている。さらに2.0では「CREATE SEQUENCE」構文をサポート、「EXECUTE BLOCK」構文、「CROSS JOIN」構文の追加などがなされている。