オープンソースソフトウェア(OSS)は、一部の技術者やホビイストのためのものから、企業のITシステムにとって「当たり前」なコンポーネントのひとつとなった。一方で、OSSの組み合わせによるシステムを企業において導入、運用していくためには、その検証やメンテナンスに対する配慮が必要な点が、普及を妨げる壁のひとつにもなっていた。
こうした問題を解決すべく、検証済みのOSSスタックを企業に対して提供し、そのサポートとメンテナンスを行う企業の1社であるSpikeSourceは、自らの役割を「Intermediaries(仲介者)」と称し、OSSによる企業システムの普及を目指したさまざまな取り組みを行っている。SpikeSourceでCEOを務めるKim Polese氏に、同社のビジネスやOSS市場における役割について聞いた。
--SpikeSourceの現在のビジネス状況について聞かせてください。
従業員数は約100名で、約半分がシリコンバレー、残りはインドのバンガロールにいます。また、世界中に100社を超えるソリューションプロバイダーがパートナーとしています。売上等の数字については非公開です。
--オープンソースソフトウェア(OSS)の世界では、ファーストステージにおいてOSやデータベース、ミドルウェアなどの「インフラ」の充実が行われ、セカンドステージでは、その上で動くアプリケーションが拡充されてきたという流れがあります。現在、SpikeSourceが行っているビジネスは、サードステージにあたり、その役割は「Intermediaries(仲介者)」であるとのことですが、それはどのようなものなのでしょうか。
OSSがコモディティ化することにより、コストの低減を目的にOSS自体を企業システムの一部として取り入れたり、そのコラボレーティブな開発モデルを採用しようという動きが盛んになっています。

ただし、企業がOSSを導入するにあたっては、そのメンテナンスが大きな問題になります。オープンソースのスタックにおいては、毎週のように何千という単位で新しい機能が加わったり、バグフィックスが行われます。その作業は極めて複雑なものです。パッケージ化されたOSSのスタックを、エンタープライズクラスのサポート、メンテナンス込みで提供しているというのが、SpikeSourceのユニークな点です。
Intermediariesと呼ばれるグループの中では、他にも多くの企業が存在しています。例えばPalamidaやBlack Duck Softwareは、オープンソースのアセット管理、あるいは知財のライセンシングのトラッキングといった点に注力しています。また、rPathなども独自性のあるソフトウェアを提供しており、それぞれの会社が異なる分野で活躍しています。
--「仲介者」としてのビジネスを行う企業が増える中で、SpikeSourceとしての競争力は何になるのでしょうか。
SpikeSourceでは、6つのOS、100のコンポーネントのあらゆる組み合わせについて、自動テスト化フレームワークを用いた高速かつ自動のテストを行っています。日々、それぞれのコンポーネントに対して行われる変更をトラッキングし、本当に必要なものだけをピックアップしてビルドプロセスに入れ、テストし、一夜にして検証済みのパッチを出していくという作業を行っています。
こうした、OSSをメンテナンスし、サポートするための処理を完全に自動化する技術とノウハウを持つ点がSpikeSourceの強みだと言えるでしょう。