データベースと言ってもいろいろ、全部いえますか? - (page 3)

鈴木浩司(日本オラクル)

2007-09-11 17:19

 それは、データが格納されている構造を理解していなくても利用できるということです。階層型やネットワーク型のデータベースではデータ構造への依存が強く、データ構造の理解が必要なため、多くの場合は専用のコンピュータやプログラムの処理、専任のエンジニアによる作業が必要でした。それに対し、リレーショナル・データベースでは操作対象となるデータ(表)とそれをどう扱うか(データ同士の関連)を分けたことで、データ構造への依存性がなくなり、データとプログラムの分離が可能になりました。これにより、データベースの利用範囲が広がり、どのような場面でも利用できるようになったのです。

 今回のまとめとして、図4のように階層型、ネットワーク型の特徴と課題。そしてリレーショナルの特徴をまとめてみました。

図4:今回のまとめ

 リレーショナル・データベースの詳細については、次回以降にお話したいと思います。

 最後に余談ですが、歴史について振り返ってみたいと思います。このリレーショナル型データモデルは、階層型やネットワーク型と異なるまったく新しいデータモデルの考え方として、1970年に米IBMサンノゼ研究所のエドガー.F.コッド博士によって発表されました。

 当初は、階層型に比べリレーショナル型は遅すぎるということで、すぐに実用化されることはなく学術的な世界で取り扱われていたそうです。しかし、1979年には世界初の商用のデータベースが発売され、その後、ハードウェアの進化に伴い、商用で使えるデータベースが徐々に増えてくると、その扱いやすさやメンテナンス性に支えられ、現在の商用データベースの約80%以上をリレーショナル・データベースが占めるようになりました。

 ちなみに、その世界初の商用リレーショナル・データベースはなんだと思いますか? 実は、Oracle Databaseなのです。その2年前の1977年にCIAとの「特別なデータベースを作成する」というプロジェクトにオラクル(Oracle)というコードネームが名付けられました。そして商用化する際にその名前をつけるとしたのです。ということで、なんとオラクルデータベースは今年で30周年を迎えています。

 今回は、DBMSの重要な部分「どのようにデータを管理しているか(データの構造の違い)」という観点で、データベースの種類についてお話してきました。今までどのようなデータベースが利用されていて、なぜリレーショナル・データベースが広く使われるようになったのか、また、それぞれのデータの構造がご理解頂けたのではと思います。

 最近、データベースの種類では、XMLデータベースというようなリレーショナル・データベースとは違うデータベースも注目されています。このXMLデータベースについては、連載の途中でお話できればと思っています。

 次回は、DBMSの役割や機能をまとめた上で、リレーショナル・データベースの詳しいところをお話してきたいと思います。

鈴木浩司
筆者紹介

鈴木浩司(すずき こうじ)
日本オラクル株式会社 システム製品統括本部
クロスインダストリービジネス推進本部

担当製品: Oracle Fusion Middleware
経歴: SI企業にて、約8年システム開発に携わる。日本オラクルに営業として入社。エンジニアにコンバートされ、Java,SOA,IDM製品を担当。現在に至る。
一言: 本連載を書くにあたり、最初に勤めた企業にて「ユーザーからの問い合わせをデータベース化しよう」と初めてデータベースの勉強をし挫折したことを思い出しました。もう10年近い昔の話です(笑)。そんな経験を元に、できるだけわかりやすく書いていきたいと思っています。今、日本オラクルでは開発者向けに多数のセミナーを実施しています。是非ご参加下さい!

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