「トップダウン」と「ボトムアップ」の融合で真のPM実現を目指すマイクロソフト--加速するBI(3) - (page 2)

柴田克己(編集部)

2007-11-09 22:30

Excelのデータを眠らせない

 前出のとおり、PerformancePointの持つ機能は、大きく「プランニング」「モニタリング」「分析・レポーティング」の3つである。米野氏は、「PM全体を考えたときには特に“プランニング”が重要になる」と言う。

 全社が共有すべき戦略をどう作るか。また、現状の戦略をどのタイミングでリバイスするか。それを考えるべきスパンは、徐々に短期化している。そして、その検討にあたって考慮すべき重要な要素は「予算」だ。

 「戦略は、予算とリンクしていなければ意味がない。しかし、予算データはたいていの企業でExcelの中に入れられており、それぞれの場所で共有されずに、決められた時期がくるまで保存されてしまう。この状況では、適切なタイミングで現状と戦略とのミスマッチをモニタリングすることができない」(米野氏)

 PerformancePointでは、データ入出力のフロントエンドとしてExcelを使いつつ、データの実体はすべてPerformancePointを経由して、SQL Serverの多次元データベースに集約する。つまり、各自のデスクトップにあるExcelの中でデータを眠らせず、共有すべきデータを常に最新のものに保つ。マクロなどのロジックもすべてサーバ側で管理されるため、整合性の保持やメンテナンサビリティも高くなる。

 また、ユーザーが「自らが必要とするデータのみを、自分の見やすい形で見る」ためのツールとして用意されている「ダッシュボードデザイナー」では、Excelのピボットテーブルを作るのと同じ感覚で、容易にダッシュボードを作成できる。

 「PMを語る上でプランニングとモニタリングの要素は外せない」と米野氏は言う。Excelという、今や企業にとってはデファクトスタンダードと呼んでもいいツールをフロントエンドとしつつ、1つのデータモデルで適時性の高い情報を共有できる環境を、単一のパッケージングで提供するのがPerformancePointである。これがマイクロソフトの考える「BIの理想的なアプローチ」というわけだ。

 近年のBIに対する関心の高まりを、“見える化”という言葉がリードしていることには疑問の余地がない。しかし、「“見える化”を行えば、企業の生産性が上がる」といったイメージばかりが先行している風潮があると米野氏は指摘する。

 「『自分たちの部門が企業全体の戦略の中で、今、どのように行動すべきか』。これを現場が主体的に考えるためのモチベーションが事前にあることが前提のはず。それを考えるための手段として“見える化ツール”が必要なのではないだろうか。ツールを入れることそのものが、モチベーションを上げるわけではない。現場が主体的に『見たい』と思うためには、戦略を共有している現場のスタッフが自ら、自分たちに本当に必要なもの(情報)を得るための環境を作らなければならないはず。そのために最適なプラットフォームがPerformancePointだ」(米野氏)

msbi マイクロソフトの提案する企業業績管理(パフォーマンスマネジメント)の概念図。バックエンドには「SQL Server」、フロントエンドには「Excel」。PerformancePointは、その中間ですべてのデータを集約して管理し、ユーザーの望む形でプレゼンテーションする役割を担う。

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