HALは、JavaScriptに一定のプログラミングスタイルを与えることでチーム開発における生産性や保守性を飛躍的に向上する。つまり、HALプログラミングスタイルでJavaScriptにクラスベースのオブジェクト指向型言語記述を実現、JavaScriptコードをコンパクトにすることで、その再利用を容易にするという特徴がある。
もうひとつのソフトウェア製品は「ISSEI(イッセイ)」だ。これは、非常に柔軟なデータ構造を持ち、超高速の検索を実現する次世代ウェブ基盤技術だ。データの持ち方に独自の工夫があり、膨大な情報の中から該当するデータを即座に抽出できる。
庄司氏は「ISSEIを使うと、数億件のデータがブラウザを通して即座に見えてしまうわけです。不確定な情報をとにかく集め、後でいろいろな側面から検索しようというもの。つまり、Web2.0時代はデータをこのように持ち、このように検索するということを提唱したいと思っています。本当はこれまでのRDBは不要といいたいのですが、そういうとあの機能がない、この機能がないということになるので、データエンジンとかデータ構造といういい方で止めているわけです」と意気込みを語ってくれた。
またISSEIは、あるキーワードで検索した場合、ユーザが求める情報に加え、それに付随する関連情報へも導いてくれるため、新たな気づき、知といったものを付加情報として得ることもできる。
突拍子もない夢の実現へ
大塚氏は「たぶん、アプリケーションの中で育っていくのだろうと思っています。このISSEIからまったく新しいコミュニケーションツールとかグループウェアなどが生まれると期待しています」という。
たとえばグループウェアでは、1人ひとりのファイルの中に一定の時間ごとにその人がどこにいたかなどその履歴を取っておく。それを解析することで社員それぞれの行動を把握し、優秀な社員とそうでない社員はどう違うかもということも分析できる。
「これまでは事前に設計しておかなければできなかったことが、どんどんデータがたまっていっても後からいくらでも解析できるわけです。広告代理店の視聴率調査やECサイトのログ解析でも使えると思っています。それを瞬時にリアルタイムに把握し、的確な対応をするという使い方です」(庄司氏)。
「管理系の人に話をしたら、SOX法で使えますねといっていました。つまり、人の行動がすべて可視化できるからです。だれがどこにいるかも把握できるわけです。しかしわれわれはアプリケーションには進出することはせず、Ajaxを完全に部品化できるというテクノロジーをアプリケーションベンダーに提供するという立場でいたいと思っています。メールのように粒度の粗いものはわれわれでも作ることができますが、アプリケーションについては業務に詳しい皆さんで作って下さいということにしたい」(大塚氏)
そしてHOWSは、こうした圧倒的な技術力、製品力を背景に、MIJSではまずユーザーインターフェースの共通化を実現したいという。
技術部会で今力を入れているのは各社の製品の連携だが、大塚氏は「エンドユーザの視点から見たとき、各社の製品が導入したのはいいが、ユーザのインタフェースが違うというのが使いづらいわけです。ウェブの時代ですから、そのフロントとしてAjaxを使いインタフェースの共通化を図る。これで各社がウィン・ウィンの関係になれる。技術部会では、基盤技術でこれに取り組もうとしています」という。
そして、創業の目的でもある海外進出だ。「メンバーの方々が、日本のソフト会社もこれから世界を目指すという意気込みを語っているので、いっしょにやることにしました」とする一方、独自にも海外進出を考えている。
「以前から、CPUもOSも自分たちで作り、インテルやマイクロソフトなどとはまったく違うコンセプトのコンピュータを作りたいという夢を持っていました。頭の中にはあります。頭の中には突拍子もないことがいろいろあります」(庄司氏)という思いを持って、来年にもアメリカに進出する。