コグノスは10月31日、ビジネスインテリジェンス(BI)およびパフォーマンスマネジメント(PM)関連ソリューション「IBM Cognos 8 v4」「IBM Cognos TM1」の2製品を発表した。同社は2008年1月にIBMにより買収され、現在はIBMのグループ企業。これらの新製品は「IBM Cognos」ブランドで提供される。
IBM Cognos 8 v4では、新たにIBMのデータウェアハウス情報ミドルウェア「IBM InfoSphere Warehouse」や統合データ管理ソフトウェア「IBM InfoSphere Data Architect」など、「InfoSphere」シリーズ製品との機能連携が行われている。企業は、InfoSphereで管理されたデータウェアハウスからIBM Cognos 8で作成したBI情報までを、より一貫性のある形で管理、活用することが、より容易になった。新機能としては、セルフサービス型のダッシュボード作成機能「IBM Cognos 8 Go! Dashboard」が追加されている。この機能を使うことで、経営者や経理担当者といったエンドユーザーが、IT担当者の手を介さずに自ら必要なデータをドラッグ&ドロップによる簡単な操作でダッシュボード化できるという。
IBM Cognos TM1は、64ビットインメモリ型のOLAPサーバ。企業の経営情報をオンデマンドで高速に分析可能とすることにより、計画立案、予算作成、予測、財務報告といったプロセスと成果の最適化を行えるソリューション。インメモリで動作させることにより、膨大な経営情報の分析を従来に比べて圧倒的な短時間で実現する。高速かつ高精度のデータ分析、リアルタイムでの可視化、レポート作成により、企業のPMを強化するという。IBM Cognos TM1は、IBM Cognos 8 v4のデータソースとして利用することにより、全社規模でのより高度な分析や戦略的プランニングを実現できるとする。
両製品は、2008年12月初旬に販売開始の予定。
新製品の発表会は日本IBMで行われた。同社専務執行役員ソフトウェア事業担当の三浦浩氏は、企業における情報の戦略的活用を最大化し、ビジネスの最適化と競争力強化を目的とした“Information On Demand”(IOD)のビジョンを改めて説明。このビジョンで示されるのは、必要なアプリケーションが必要な時に必要なデータにアクセスできるIT基盤であり、その実現においては、情報の「管理」「統合」「分析」の各フェーズでの高い整合性が求められる。IBMによるコグノスの統合は、IODのビジョンにおいて「分析」フェーズを拡充する重要な戦略であることを強調した。
また、コグノス代表取締役社長兼日本IBMソフトウェア事業インフォメーション・マネジメント事業部BI&パフォーマンス・マネジメント事業開発担当の細井一雄氏は、IBMとの統合を機とした「BIベンダー」から「“パフォーマンス文化”を支援するベンダー」へのコグノスの変革を表明した。「パフォーマンス文化」とは、細井氏によれば、KPIや客観的データに基づくビジネスの評価軸をベースに、ビジネスの意思決定を進めていく考え方であるという。細井氏は、日本ではいまだこうした考え方を持つ企業が多くないとした上で、IBMとのシナジーにより「文化を定着させるための基盤と製品群、ソリューションの提供を行っていく」と述べた。