ブロックとファイル、FCの重要性--ストレージネットワークの基礎を抑える(前編)

辻 哲也(ブロケード コミュニケーションズ システムズ) 2009年02月24日 08時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 この連載では、SAN(Storage Area Network)やNAS(Network Attached Storage)などのいわゆる「ストレージネットワーク」を中心に、データセンターを構成するサーバや外部記憶装置(ストレージ)、さらにはネットワークの最新の市場動向や関連技術を5回にわたって解説する。第3回となる今回は「ストレージネットワークの概要」をテーマに、ストレージネットワークを構成するうえで現在使用されている具体的な要素技術を解説する。

ブロックアクセスとファイルアクセス

 今回はストレージネットワークで今日使用されているプロトコルなどの技術を紹介するが、前提知識としてまず知っておいてほしいのが、「ファイルアクセス」と「ブロックアクセス」という概念である。ここでは、私たちがファイルサーバにデータを保存(格納)して、それがディスク/テープに格納されるという状況を想定して、この両者を説明していこう(図1)。

図1 図1:ファイルアクセスとブロックアクセス
※画像をクリックすると拡大して表示されます

ファイルを単位としたデータアクセス

 私たちはデータにアクセスする際、データを“ファイル”という形で認識している。ファイルはアプリケーションと密接に結びついており、私たちが使用するアプリケーションに応じたファイル形式が存在する。普段使用しているファイル形式として代表的なものといえば、「Microsoft Word」のファイル(拡張子は「.doc」)、「Microsoft Excel」のファイル(拡張子は「.xls」)などであろう。

 ファイルは実体としては“データの塊”にすぎないが、それを私たち人間(そしてアプリケーション)にとって認識しやすいように、いわば“仮想化”しているわけである。クライアントPCからNASなどのファイルサーバにデータを保存する場合など、ファイルを単位としたデータアクセスをネットワーク経由で行う際には、CIFS(Common Internet File System)やNFS(Network File System)といったネットワークプロトコルが使用される。

 第1回でも紹介したが、これらはTCP(もしくはUDP)/IP上で動作する一種のアプリケーションであり、イーサネット(Ethernet)など通常のLAN(Local Area Network)を通信媒体(メディア)として使用できる。このようにファイルを前提としたデータアクセスの方式を、ここでは「ファイルアクセス」と呼ぶ。ファイルには「更新日時」や「アクセス権」など、さまざまな「属性情報」を付与することができる。これらの属性を利用してファイル管理をより柔軟、かつ効果的に行うことも可能であり、このような管理ネットワークを総称して「File Area Network(FAN)」などと呼ぶ場合もある。

ブロックアクセスは高速

 一方、コンピュータとストレージの間では多くの場合、SCSIコマンドを用いてデータの送受信を行っている。ここではデータをある大きさに区切って、それを送受信の単位としている。これを“ブロック”と呼び、ブロックを前提にしたデータのやり取りの形態をここでは「ブロックアクセス」と呼ぶ。

 NASがファイルアクセスを前提としているのに対して、SANはブロックアクセス、言い換えるとその上位でSCSIプロトコル(コマンド)を送受信するネットワークの総称である。ブロックアクセスの場合、ファイルのように細かく属性情報を付与することは困難だが、ブロックアクセスのデータ転送は一般に、ファイルアクセスに比べて高速である。したがって、高速・大容量のデータをやり取りする場合には、ブロックアクセスのプロトコルを使用するのが一般的である。

 上記の通り、ファイルアクセスとブロックアクセスには多くの違いが存在する(図2)。ファイルアクセスとブロックアクセスは一長一短とも言えるため、用途にあわせて使い分けるのが賢い選択と言えるだろう。

図2 図2:ファイルアクセスとブロックアクセスの違い
※画像をクリックすると拡大して表示されます

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連キーワード
クラウド基盤

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]