疑問3:BPMとSOAにはどう取り組めばいいの?
確かに「BPM」も「SOA」も、多分に概念的な要素が多い言葉であり、その実体をはっきりとつかむのは難しい。関連して知っておくべき事柄も多そうだ。どのように検討し、何から進めるべきなのかを考える作業は一筋縄ではいかない。
例えば、業務分析やモデリングはどのように行うのか、SOAの標準仕様や技術はどうやって活用するのか、あるいはサービスの部品単位(粒度)をどんな基準で決めるのかといった問題もある。そもそも、BPMの成果をどのように評価するのかが見えないと、予算化すら難しい。
そこで入山氏は、「どこからやるべきかを、ITサイド、業務プロセスサイドのそれぞれの担当領域から始めるとよい」とアドバイスする。
では、ITサイドの仕掛けから考えてみる。通常、BPMの仕組みの整備はPDCAサイクルのPlan(分析・設計)から取り組まなければならないと思いがちだが、入山氏は「必ずしも分析フェーズから進める必要はない。むしろ実行フェーズから進めることで、分析に必要なルールについて、IT面からの具体的な提言が行える」という。
BPELを使えばプロセスを表現することは簡単だが、運用・メンテナンスにはそれなりのノウハウが必要とされる。そのため、「プロセスで実行する仕掛け」「サービスでまとめる仕掛け」の部分から取り組むことで、それが目に見える成果につながり、業務分析するチームに対し、ITサイドからの制約条件や実施の困難な点をふまえた上で提言ができるようになるわけだ。
一方、業務サイドは何から始めるべきか。「初期段階は検討やモデリングの方法論にこだわり過ぎると短期的な成果が見えにくくなり、BPMプロジェクトがトーンダウンして先に進まない」と、入山氏は指摘する。
例えば、「顧客の登録」や「履歴の参照」などは手順が厳密である必要はなく、プロセス自体は業務の流れがおおよそ把握できればよい。反対に、「販売管理」や「会計」など内部統制において厳密に手順化されている部分は、BPELを利用してサービスの実行順序を定義し、プロセス順に実行されるように実装するといった切り分けが重要となる。