日本オラクルは、次世代ミドルウェア製品群「Oracle Fusion Middleware 11g」を発表するとともに、その最新情報を紹介する「Oracle Fusion Middleware Summit 2009」を東京・港区で開催した。
Oracle Fusion Middleware 11gは、「Oracle SOA Suite」「Oracle WebLogic Suite」「Oracle WebCenter Suite」「Oracle Identity Management」などの製品群で構成されており、日本市場では2009年9月8日に提供が開始される。
同社によれば、Oracle Fusion Middleware 11gは、ミドルウェアを統合ITプラットフォームとして提供。ベストオブブリードの製品系列を用意しており、幅広い課題に対応可能なスイート製品で、そのSOA基盤はビジネスとITの連携、変化に対する柔軟性をもたらすとしている。また、同社が買収したBEA Systemsと、製品および開発の面で完全な統合を果たしているという。
日本オラクル 代表取締役社長の遠藤隆雄氏は、「厳しい経済環境のなか、より良い製品や勝ち残るための変化が企業に求められている。これができない企業は淘汰されるだろう。変化への柔軟な対応を支えるのはミドルウェアだと確信している、オラクルは、Complete、Integrate、Openの戦略の下、変化に挑む顧客に負荷がかからないよう、Fusion Middleware 11gでミドルウェアの完全統合を図った。これを企業が安心して使っていけるような環境つくりを約束したい」と述べた。
Oracleでミドルウェア担当チーフアーキテクト兼シニアバイスプレジデントを務めるTed Farrell氏は、「Fusion Middleware 11gは、3000近い特徴を追加しており、特にコア機能を強化している。構造は簡素化し、一元的な管理、統合ができる。また、共通メタデータ管理を実現しており、アプリケーションは一度開発して実装すると、ランタイム中にブラウザ上から変更することが可能になる。これまで、変更するには開発サイクルをすべてやり直すことが必要だったのに、だ」と語り、開発の効率性が大きく向上していることを強調した。
Oracle SOA Suite 11gは、設計から運用までのシステムライフサイクル全体の生産性を向上させ、ガバナンスを強化する完全なSOA統合プラットフォームとの位置づけ。ビジネスプロセス管理、イベント処理などの機能もプラットフォームおよび開発環境に統合した。SOAシステム環境が複雑化することを回避させ、簡素な構成となっている。
Oracle WebLogic Suite 11gは、BEA Systemsの製品群を統合化。作業の自動化と障害解析機能の水準をさらに向上させ、アプリケーションサーバの継続稼働時間を従来より高くして、管理コストの削減を目指す。
また、「Oracle Fusion Middleware GridLink for Oracle Real Application Clusters」や「Oracle Fusion Middleware Enterprise Grid Messaging」などの新機能により、グリッド対応を強化。さらに、「Oracle Fusion Middleware ActiveCache」は、迅速なスケールアウトが可能となり、ユーザーの需要とシステム負荷の変化に動的に対応できる。
「Oracle WebCenter Suite 11g」は、「Oracle WebCenter Services」を容易に利用可能にする基盤となる。また、多様なポータルにつなぐことにより、ソーシャルコンピューティングを充実させたり、個人の生産性を向上させることが可能だという。事前定義済みのソーシャルネットワーキングソリューションである最新の「Oracle WebCenter Spaces」によって、エンドユーザー主導で開発、管理されるコミュニティが実現可能になり、生産性とコミュニケーション、効率性の向上につなげられることを謳っている。
「Oracle Identity Management 11g」は、ID管理の要となり、「Oracle Internet Directory 11g」「Oracle Virtual Directory 11g」「Oracle Identity Federation 11g」「Oracle Platform Security Services」といった製品が含まれている。新機能としてディレクトリの構築と運用を容易にする「Deployment Accelerators」、異種混在環境間での認証連携を容易に実現する「Universal Federation Framework」を追加した。また、「Application Development Framework (ADF) Faces」をベースとした最新の統合ユーザーインターフェースを備えた。
日本オラクル 常務執行役員 Fusion Middleware事業統括本部長のVivek Mahajan氏は、「ビジネス視点では、やはりコストが大きな課題であるわけだが、Fusion Middlewareは確実にコストを低減化できる。また、ビジネスとITを密接に統合することも可能になり、インテリジェントなエンタープライズを実現できる」と話し、コスト削減がFusion Middlewareの大きな特徴であることを強調した。