富士通、中期経営計画を発表--2011年度に2500億円の営業利益目指す

大河原克行

2009-07-23 20:31

 富士通は7月23日、報道関係者を対象に経営方針説明会を行い、社長の野副州旦氏が、2011年度を最終年度とする新中期経営計画について発表した。

 2011年度に過去最高益となる営業利益2500億円(2008年度実績687億円)、当期純利益1300億円(同1123億円の損失)を目指すほか、売上高は5兆円、連結営業利益率は5.0%超、海外売上比率40%超、棚卸資産回転数2.0回以上、D/Eレシオ1.0倍以下、フリーキャッシュフローで1500億円以上といった経営指標を目標に掲げる。

 営業利益2500億円に向けては、2009年度および2010年度に、事業ベースにおける増益で、それぞれ600億円増を見込むほか、構造改革効果、デバイス事業やネットワーク事業の黒字化、フォーメーション改革寄与、海外収益拡大、フィールド・イノベーション展開本格化、新領域の立ち上げなどで増益を図る。

2011年度に過去最高益となる営業利益2500億円を目指す 2011年度に、過去最高益となる営業利益2500億円、当期純利益1300億円、売上高5兆円を目指す計画。

 「5兆円という売上高数値には根拠がない。むしろ最低限の数字であり、5兆円の規模でもこれだけの利益を出すということを目標にしたもの」(野副氏)という。

 また、2009年度の業績目標は、売上高は2.3%増の4兆8000億円、営業利益は16.3%増の800億円、当期純利益は黒字転換の200億円を目指す。

 「2期連続の最終赤字にはしない。絶対に黒字化する。2009年度がどこまで伸びるのかが、2010年度以降の富士通の構造改革をどこまで進めることができるのかの指針になる」とした。

 野副氏は、新中期経営計画の3カ年を、「真のグローバルIT企業へ向けた3年間」と位置づける。それに向けた道筋として、「日本における盤石なポジションと収益が、富士通のグローバル化を支える」「グローバルビジネスの再構築の過程で、日本と海外の融合を図る」「グローバルビジネスの柱は、プロダクト商品(システム、ソフト、サービス)。人材依存型サービスではグローバルには戦えない」といった方向性を示した。

 新中期経営計画では、これまでの中期経営計画で掲げたテーマを継続し、「お客様のビジネスを良くすること(お客様のお客様起点)」「Think Global, Act Local(グローバル起点)、「お客様の環境負荷を低減(地球環境起点)」の3点を起点とした変革に挑むとし、さらに、「これらは、お客様起点経営を進化させるためのもの」と改めて強調した。

 また、構造改革の方向性として、「サービスとプロダクトの両輪によるグローバルモデルの構築」のほか、日本の市場においては、「真のお客様パートナー・モデル〜作りっぱなしにしない」「インフラ工業化を取り込んだ製販一体モデル」といった方向性を打ち出す。

野副州旦氏 富士通社長の野副州旦氏は「日本で唯一の、真のグローバルIT企業を目指す」と決意を述べた。

 一方、野副氏は、2008年度までに取り組んできた構造改革について、「構造改革を成長と利益という軸で判断し、整理整頓をしてきた。この経済環境は、整理整頓をするには順風であり、追い風であった。スピードをもって改革ができた」と総括。コンデンサ事業の譲渡、富士通オートメーションの株式譲渡、ユーディナデバイスの株式譲渡、HDD事業譲渡の一方で、グローバルサービスの強化に向けた海外企業の買収や北米子会社の統合、富士通ビジネスシステムの完全子会社化、国内営業のソリューション軸への再編、インフラサービス工業化、フィールド・イノベーションの推進などの取り組みを成果として挙げた。

 さらに、グループ会社の専門性を高める方向を示し、富士通エフサスを保守や工事などのインフラサービス事業への特化、富士通と重複があったデータセンター事業を富士通FIPに集約。中堅ソリューション事業については富士通ビジネスシテスムに集約するといった改革を推進する。

 そのほか、「携帯電話やPCは、顧客との接点。ブランドを浸透させるという役割を持った製品であり、2〜3%の利益を確保し、赤字でなければいい。構造改革をする必要はあるが、PCでは1000万台規模にまで拡大できれば黒字化しやすい。テクノロジーソリューション事業では、2011年度に8%以上の営業利益率を目指したい」とし、「富士通は、テクノロジーソリューションを中核にして、サービスとプロダクトの両輪で、ビジネスをグローバルに展開する。グローバルで展開するには、日本に軸足を置くことが必要。日本で唯一の、真のグローバルIT企業を目指す」との姿勢を強調した。

各年度業績目標で目指すべき方向 2011年度の過去最高益達成を目指し、各年度で順次目指していく方向性が示された。

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