米国ロサンゼルスで開催されたAdobe Systems(Adobe)のデベロッパーカンファレンス「Adobe MAX 2009」の2日目の基調講演では、同社のテクノロジーを利用して構築された動画配信システム、ビジネスアプリケーション、ゲームサイトなど、さまざまな導入事例がショーケースのような形式で紹介された。この記事では、同講演で披露された事例について紹介していこう。
MLB.com
日本人選手の活躍などで、近年では日本でも話題に上ることが多くなったメジャーリーグ。その公式動画配信サイトである「MLB.com」では、AdobeのFlash Media ServerをはじめとするFlash Video技術による映像配信を行っている。
MLB.comのプロダクトデベロップメント担当シニアバイスプレジデントのDavid Yu氏は、同サイトの配信アーキテクチャを紹介しつつ、Flash Videoによる動画配信のメリットとして、リアルタイム性やスムーズなタイムシフト再生が可能といった点を挙げた。
Yu氏と共にステージに上がった、Adobeのインタラクティブメディア、プロダクトマネジメントディレクターであるJennifer Taylor氏は、Flash Video関連の新たなトピックとして、HTTPストリーミングによる高画質ビデオの配信機能等を紹介すると同時に、2009年7月にFlash関連のオープンソースプロジェクトとして開始された「Open Source Media Framework(OSMF)」を披露した。
OSMFでは、Flash Media Player向けフレームワークの構築を目指しており、このプロジェクトの成果を利用することにより、Flash技術による映像配信を行いたいデベロッパーは、高度なユーザーインターフェースや、収益化のための広告機能、ニーズに応じた映像デリバリー機能などを、容易に自らが開発するプレイヤーに組み込むことができる。いわゆる「車輪の再発明」的な非効率を避け、映像配信にまつわる各種の基本的な機能をライブラリとして提供することで、動画配信を扱う開発者によるFlash技術の採用を進めようという試みだ。
講演では、OSMFのデモとして、テキストやイメージ、SWF、オーディオといったオブジェクトを、ストリーム再生しているFlashビデオに対して自由に重ね合わせる様子や、ビデオの位置やコンポジションの指定、キャプションの挿入などをスクリプトによる指定できる様子などが示された。また、今後、ビデオの視聴時間や視聴された時間帯などを取得し分析するOmniture Metricsプラグインなどの提供計画があることにも触れられた。