富士通は3月17日、クラウドコンピューティング環境やデータセンターの構築に最適化した高密度サーバプラットフォーム「PRIMERGY CX1000」を、同日より全世界で販売すると発表した。新製品は、サーバを格納するラック単位での集中冷却方式を採用したことにより、消費電力や空調設備、サーバラック設置スペースなどを、汎用のラックマウントサーバに比べて低減化するとともに、部品点数を削減し軽量化するなど、電力コスト削減および省スペース化に注力している。
PRIMERGY CX1000は、1ラックあたり38サーバノードを収納したサーバプラットフォームで、「インテル Xeon プロセッサー 5500番台」に加え、同日インテルが発表した最新のCPU「インテル Xeon プロセッサー 5600番台」を搭載。数十台から数千台規模のスケールアウト型システムでの用途を想定している。
富士通執行役員常務、システムプロダクトビジネスグループ長の佐相秀幸氏は「全世界のサーバ出荷台数のうち、クラウドコンピューティング向けサーバの占める比率が2012年には27.9%にまで拡大する」とのガートナーデータクエストによる予測値を挙げながら、「基幹業務向け製品も引き続き販売していくが、クラウド分野向けという新たなカテゴリのサーバを投入した」と話し、クラウド関連市場への期待感を示した。
同製品は、2009年4月に同社がドイツの富士通シーメンス・コンピューターズを完全子会社化したFujitsu Technology Solutionsが開発の主体となっており、世界市場での攻勢強化を念頭に置いている。
2個の大型ファンによるさまざまな効果
今回の製品の大きな特徴である「集中冷却方式」では、サーバ単体には冷却ファンを装備せず、ラック上面に2個の大型ファンを搭載してラック単位で冷却する。通常の汎用ラックマウントサーバは、1台のサーバに冷却ファンが8〜10個装備されており、サーバごとに冷却しているため、そのサーバを数十台ラックに搭載するとファンの合計数は膨大になる。たとえば、同社の「PRIMERGY RX200 S5」を40Uラックにフル搭載した場合、8個×38で、1ラックあたり300個以上のファンが動作することになるという。
「集中冷却方式」のもたらす利点はさまざまだ。まず、サーバ設置スペースの効率化が挙げられる。ラック上面に排気する形式であることから、ラックの背面同士を合わせた設置が可能となり、従来必要だったラック後方の排気スペース「ホットアイル」を設けなくてすむ。また、各サーバノードの構造を見直し、専用ラックを小型化したことで「ラック単体設置面積は従来製品と比較して約20%削減。同一サーバノード数でのサーバ設置スペースは、従来のラックマウントサーバに比べ約40%削減できた」(同社)としている。