サイボウズが新たなパートナー戦略として「cybozu.comフレンド」と呼ばれる制度を2012年7月から開始すると発表した。
サイボウズが提供するクラウド基盤「cybozu.com」上で提供する「サイボウズ Office on cybozu.com」などを第三者に紹介する制度。
「ITの専門知識を持たない企業が、サイボウズのコラボレーションツールを販売する仕組み。また、サポートや請求業務が不要となるため、異業種企業も容易に参入できるようになる。クラウド時代ならではの販売制度」と、サイボウズ代表取締役社長の青野慶久氏は語る。
サイボウズ代表取締役社長の青野慶久氏
顧客企業や知人、自らが属するコミュニティなどにサイボウズのクラウドサービスを紹介。紹介されたユーザーは、専用URLからcybozu.com上のサービスの試用を申し込むことができる。
その後、一定期間内に紹介したユーザーが正式契約すると、その契約状況に応じて、紹介した企業がキャッシュバックを受け取ることができるという制度。紹介先のユーザーがサイボウズのクラウドサービスを利用し続けている間、キャッシュバックの権利は継続できる。また、紹介したユーザーがサービスの追加購入を行った場合もキャッシュバックが受けられる。
加えて、フレンドの紹介によってcybozu.comを知ったものの、商談が大規模になり、パートナーを通じた導入になった場合にも、同様にサイボウズからキャッシュバックが行われることになる。
ユーザーがサービスを利用する上でのサポートや導入相談はサイボウズが担当するため、技術的な知識やサポート負担、請求業務は不要になるという。
ちなみに、cybozu.comフレンドには資格制度があり、さらに最後の紹介者が購入してから24カ月間という資格期限がある。一度資格を喪失すると、それ以前の契約のキャッシュバックなどは行われない。つまり、新たなユーザーを次々と紹介しつづけると、ユーザー数が蓄積され、しかも継続的にキャッシュバックが行われるという仕組みだ。
フレンド企業には、ロゴを入れたバッジの提供や月次レポート、教育用教材、販売管理ができる専用ウェブサイトの提供、マイページの提供などが検討されているという。
資格取得やキャッシュバック率などの詳しい内容については、準備が整い次第告知するとしているが、「軽い紹介制度といえるものであり、キャッシュバック率は紹介料のような規模。大きな金額をバックするものではないため、これで企業が生計を立てられる規模にはならない」という範囲。1桁台中盤のキャッシュバック率を軸に、検討を行っているものとみられる。
3月上旬から「βフレンド」と呼ぶ数社の企業と試験運用を開始。そこにはマスコミや地方銀行といった異業種が参加しているという。
「IT業界の企業では、パートナー契約というような深い関係には踏み出したくはないが、サイボウズの製品を販売する機会を持っているような企業、またIT業界以外では顧客先で経営者と会う機会が多く、業務提案をしたいと思っている場合、企業の情報共有や業務改善についての発信を行っているコンサルタントなどがcybozu.comフレンドの対象になる」(サイボウズの野水克也フェロー)という。
6月1日をめどに同制度を運用するための情報システムとして「フレンドシステム」を稼働。5月には一部のフレンド企業による受注活動を開始するとともに、6月にはβフレンド企業による受注活動を開始。そして、7月2日からcybozu.comフレンド制度を正式にスタートすることになる。
さて、なぜサイボウズはcybozu.comフレンド制度に乗り出すのだろうか。