顧客満足度を上げるためのソーシャルデータの活用方法とは--もしもしホットライン - (page 3)

柴田克己

2012-04-20 14:26

ビッグデータ時代に必要となる「より深い分析」

 最後に紹介された事例は「集計・レポート範囲の拡大」である。従来、アンケートなどの集計結果は「クロス集計」としてまとめられるケースが多かった。これは、集計する項目数や、そこから得たい知見の範囲が限られていれば有効な集計方法だが、データの項目数が大幅に増えたり、探索的な知見を得たいという場合には「なんとなくわかるけれど、なんとなくわからない」といった感想を持たれがちな手法でもある。

 「単純なクロス集計はビッグデータの時代において、人間の限界を超えてしまう」と久野氏は言う。マーケティングサイエンス研究所では、分析ツールとレポートフォーマットを提供することで、より深いナレッジの共有と活用を進める取り組みを行っているという。そこでひとつのカギとなるのは、いわゆる「クラスタ分析」の手法だ。定量的なデータの因子分析に加え、ソーシャルメディアなどで流通する定性的なデータからテーマを抽出し、クラスタ化して組み合わせることで、その「意味づけ」を解釈することが可能になるという。

 先の「解約意思」の事例では、解約者の特徴を、年齢、性別といったデモグラフィック要因だけでなく、購入商品のジャンルや、その人が企業に対して持つ理念などから意味づけることができるのではないかとする。例えば、理念のクラスタの違いが、ネット上で発信するキーワードにどのように影響を与えているかや、継続意向の違いが、どのようなキーワードと深く関連していているかといったことを、探索していける可能性がある。

 久野氏は、ソーシャルメディア上の情報をうまく分析に取り込むことで、消費者行動に関する「誰が、なぜ?」に関するより深い知見を得ることができ、これによって、総合的な顧客満足度に影響を与える「事前期待」の形成が、従来よりも高い精度で可能になっていくとして講演を締めくくった。

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