大きな疑問というのは「どういうビジネスモデルを採るか」「どうすればiPhoneやiPadに比肩する、あるいはそれを上回る規模の事業を構築できるか」だ。これは前述のAndroidやWindowsといった競合プラットフォームとの差別化にもつながってくる。
この点に関する手がかりとして、いま真っ先に思いつくのはアップルの「iAd事業」——外向けにはApple TV以上に存在感が薄く、過小評価されている印象もある例のモバイル広告事業の「方向転換」「再活用」という可能性だが、生憎とこれについてはあれこれ書けるだけの材料がまだ揃っていない(折をみて、また改めて記すことにさせていただきたい)。
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それでも「米国のテレビ市場だけで広告関連が年間720億ドル($72 bln)規模、それとは別にケーブルテレビや衛星テレビといった有料放送が年間910億ドル規模」(註8)と聞けば、全世界での年間売上が今年度1500億ドル以上と想定されるアップルにとっても、十分挑戦しがいのある市場であることは容易に感じ取れる。
追記:
この原稿をまとめている間——やはり米国時間6月4日にマイクロソフトが「Xbox SmartGlass」を発表してちょっと驚いた。
この「SmartGlass」は、アップルにとっても「これ以下のものは出せない」というひとつのベンチマークになると思う(もちろん、単にイメージビデオをつくって見せることと、製品を実際に市場に送り出すこととの間には、大きな隔たりもあるのだが)。
Forbesが今回のマイクロソフトの発表にあわせて公開した特集記事によると、Xboxはいつの間にやら「ゲームも遊べるメディア端末」という位置づけの製品に変わっているのだという(註9)。現行の「Xbox360」だけとっても2005年の発売以来、累計出荷台数は6700万台に達し、またオンラインサービス「Xbox Live」の登録ユーザー数も4000万人以上、しかも年間50ドル支払う有料会員(ゴールドメンバー)はすでに推定1700万人。そして、今年春には米国のXbox Live加入者の利用時間内訳で、ゲームで遊ぶ時間よりも動画(映画やテレビ番組)や音楽の視聴時間のほうが長くなったという(前者の伸び率が全世界で前年比30%増に対し、後者は140%)。
そうしたこともあって、米ケーブルテレビ最大手のコムキャストや、ブロードバンドサービス「FiOS」を提供する電話会社ベライゾンでは、XboxをSTBとならぶ選択肢に加えており、マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOも「両方なんていらない、Xboxひとつあれば十分」くらいの勢いで、ほかの有料放送業者にも取り扱いを働きかけているそうだ。
国内電機メーカー大手のテレビ事業の最新動向とアップル
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