幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2012」
千葉県・幕張の幕張メッセで開かれていた「CEATEC JAPAN 2012」が10月6日、幕を閉じた。
5日間に渡る期間中の来場者は16万2219人。世界19の国と地域から161社が出展し、日本のメーカーを中心に最新技術などが展示された。
今年のCEATECは、昨年までの展示内容とは一新されたといってもいい。
自動車メーカーの出展が加速
昨年まではテレビを中心に展示していた電機大手が、テレビを脇役へと退け、スマート家電を前面に打ち出していたのが印象的だ。もちろん4Kテレビといった近未来の製品を展示してはいたが、各社ともテレビをスマート家電の一部として位置づけて展示する傾向が強かったのも事実だ。
今年9月にドイツ・ベルリンで開催された「IFA 2012」では、日本のメーカーをはじめとする主要各社が引き続きテレビを前面に打ち出した展示をしていたのに比べると、CEATEC JAPAN 2012の展示内容は同じエレクトロニクスショーとは思えないほどの大きな違いを感じるのもそのためだ。
さらにその印象を強くしたのが、自動車メーカーの出展が加速したことである。
今年初出展となったトヨタ自動車をはじめ、日産自動車、三菱自動車といった自動車メーカーが出展し、実際の車を会場内で走行させるなど、まるで東京モーターショーと見間違えるエリアすら誕生していた。
実際の車両を屋根のある会場内で走行させるのは、東京モーターショーでも見ることができない風景だ。
自動車メーカーの出展が相次いだことで、電機大手もEV(電気自動車)向け充電ステーションを展示したり、自動車とスマート家電の連動を提案したりと、電機メーカーと自動車メーカーの連携を訴求していたのも特徴のひとつだろう。これは昨年のCEATEC、そして東京モーターショーの展示の流れをさらに加速したものだといえる。
だが、例年通りのCEATECの展示内容を期待して会場を訪れた来場者のなかには、肩すかしを食ったような印象を持つ人も少なくなかっただろう。
「エレクロトニクスショーなのか、自動車ショーなのか、はたまた環境・エネルギー関連ショーなのか」——。
そんな中途半端なイメージを持たざるを得なかった人もいるだろう。実際、筆者のまわりでもそんな声を数多く聞いた。
果たして、これを次代の業界の方向性を先取りした動きと捉えるべきか、それとも苦肉の策と捉えるべきかで議論は分かれる。