大河原克行のエンプラ徒然

CEATEC JAPANの変化は「次代の先取り」か「苦肉の策」か - (page 2)

大河原克行

2012-10-09 13:28


 最先端のスマート家電がここまで展示されたイベントは過去にはなかった。これからの家電が、自動車やスマートフォン、ネットワークと接続し、より豊かな生活へと変化していくであろうことは、今回の展示から十分に感じることができた。この点では、未来を予見する展示会であったといえよう。

 だが、日本では地上デジタル放送への完全移行後にテレビ需要が低迷。それを背景にテレビ関連製品の展示が減少したという動きは確かだ。これは日本固有の状況を反映したものといえるが、グローバルを唱うCEATEC JAPANの位置づけを考えれば、テレビの展示はもっとあっても良かっただろう。

 テレビの展示を見送った裏返しとして、まだ現実化するには時間がかかるスマート家電の展示に走ったとしたならば、それは苦肉の策でしかない。

 そして、今年1月の米ラスベガスの「International CES」、今年9月のIFA 2012と、エレクトロニクス関連の大規模なイベントを現地で取材してきた感想からいえば、CESとIFAが拡大基調にあるのに対して、CEATECは縮小傾向にあることを感じざるを得ないのが率直な感想だ。

 昨年のCEATEC 2011の来場者数は17万2137人であり、実際に今年の来場者数は減少している。会場を訪れてみれば、それ以上に来場者が減った印象を受けるし、大手電機各社の展示スペースも縮小した感が否めない。CESやIFAに比べても、各社の展示ブースは明らかに小さい。

 繰り返しになるが、今年のCEATECが大きく変化したのは紛れもない事実だ。だが、それが前向きの変化なのか、後ろ向きの変化なのかで、その意味合いは大きく変わる。

 来場者が前年よりも減少したという事実は、多くの人から前向きの変化と評価されていないのかもしれない。

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