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三国大洋のスクラップブック

HPに再び波乱の予兆--分社化めぐる議論が再燃か - (page 3)

三国大洋

2013-01-18 17:06


元CEOのマーク・ハード
スキャンダルでCEOの座を追われたマーク・ハード。テニス仲間のオラクルCEO、ラリー・エリソンはHP取締役会の対応を痛烈に批判し、ハードをオラクル社長として迎えた。人間ドラマである(2010年、HPのCEO時代に撮影)

1. マーク・ハードの功罪

 在任中、22四半期連続で増益という記録を残したハードのおかげで、この間にHPの売上は63%増加し、株価もほぼ2倍に上昇した。

 ハードは「CEO、CFO、COO、営業責任者を実質的にひとりで兼務」したとあるから、相当の影響力を行使していたのだろう。同氏の「徹底したコスト削減」の例として、715人が働いていたプリンタ用ドライバ開発部門が64人まで縮小したという話が出てくる。そのほか、全社で年間約1億ドルを払っていたマッキンゼーなどの経営コンサルティング会社との付き合いをほぼ全廃。「社内用のシステムさえ、長らくアップデートされなかった」ともある。

 人事評価制度は「GE方式」に変更され、毎年下位10%の従業員が強制的にクビを切られるようにもなった。

 そのようにして、PC、プリンタ、サーバといったコモディティを扱いながら、搾れるだけの利益を搾り取ったという。

2. ハードとの差別化を意識しすぎたレオ・アポテカー

 ハード追放後、社外取締役をつとめる「マーク・アンドリーセン(元ネットスケープ、現アンドリーセン・ホロウィッツ)の影響力が強まった」とある。後任者探しでは、そのアンドリーセンが主導権を握っていたようだ。

 結果的に後任CEOとして、SAPでCEOを務めた経験を持つアポテカーが選ばれ、同時に取締役会会長にレイ・レイン(元オラクルの社長兼COO、その後はクライナー・パーキンスのパートナー)が選ばれた。

 Businessweekの記事には、アポテカーがHP社内で孤立していたという記述もある。アポテカーは、少なくとも自分から馴染もうとすることはあまりなく、そのため社内での人的基盤づくりをうまくできなかったという指摘だ。

 また、ハードのやり方をいっきに払拭しようとしたのか、コスト管理もあっという間に甘くなった。社員全員の賃上げ、コンサルティング会社との付き合いの復活、そして100億ドルを支払うことになったオートノミーの買収をはじめとする複数の企業買収の口火が切られることになる。

 コンサルティング会社との付き合いを再開したことが、後に「PC事業の切り離し・売却」という例の計画発表につながる。Businessweekは、あの計画を進言したのはマッキンゼーだと書いている。

3. 気になるレイ・レインの「評判」

HP会長のレイ・レイン
IT業界の大ベテラン、レイ・レインはHP会長。オラクルの社長兼COOとして手腕を発揮、KPCBのパートナーだったことも

 Businessweekがこの記事のなかで「HPで過去2年間にあったゴタゴタのタネを蒔いた」と指摘しているのが、現取締役会会長のレイ・レインだ。

 カリフォルニア州知事選で負けたメグ・ホイットマンを、社外取締役として起用したことがその理由のひとつ。さらに、この起用にあたって取締役会のメンバーを入れ替えるときに、「ハード支持派のメンバーをふたり辞めさせたいので、バランスをとるためにアンチ・ハード派にもふたり辞めてもらはなくてはいけない」と述べたという関係者の話が記されている。

 HPでの仕事については「同社を窮状から救おうと、自分の損得など度外視で働いている」とするスコット・マクネリ(元サン・マイクロシステムズCEO)の好意的な見方がある一方、「レインは権力にどん欲なところがある」など、真っ向から対立する元幹部らの評価もある。

 また、レインによる利害相反の可能性を感じられる動きについても言及がある。具体的には、レインの取締役就任以降、同氏がクライナー・パーキンス(シリコンバレーの老舗ベンチャーキャピタル)で面倒を見ていた投資先二社をHPが買収したというものだ。

 さらに、アポテカーとレインの関係にも不自然なところが感じられる。このコンビの就任は当初、利益率の高いビジネスアプリケーション分野への重点シフトにつながる動きとして期待されていた。しかし、やがて一方がもう一方を辞任へと追いやる結果になる。

 そのこと自体はとくにめずらしくもないだろうが、ここで不自然に思えるのは、自分も会長として承認したはずのオートノミー買収の責任をすべてアポテカーに押しつけている点だ。

 「あれだけ大規模な買収を独断で決められるはずがない。ましてやHPほどの大企業となれば……(少なくとも取締役会会長の全面的な支持がなければ、話を通せるはずがない)」というアポテカー側の反論の真偽は確かめようもないが、少なくともレインのような人物といっしょに仕事をする、そういう人間を相手にしながら勢いを失った会社を再生させる、これがCEOにとってたいへんな仕事であることはほぼ間違いないだろう。

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