NTTデータ、「OpenFlow」を簡易に導入できるフレームワークを提供へ

田中好伸 (編集部)

2013-01-29 17:22

 NTTデータは1月29日、ネットワーク基盤技術「OpenFlow」を簡易に導入できるソフトウェアフレームワーク「バーチャルネットワークコントローラ バージョン2.0」を発表した。2月28日から提供する。今回のフレームワークの開発パートナーを2月1日から募集する。

 現在、標準化団体「Open Networking Foundation(ONF)」で標準化が進められているOpenFlowは、従来同一のネットワーク機器内に存在していた伝送機能と制御機能が分離され、制御機能をソフトウェアとして集約できる。ネットワークの一元管理やほかのシステムとの連携が容易になり、ネットワークの運用コストの低減、システムのセキュリティをネットワークレベルで向上させられるなどのメリットが期待されている。

 既存のOpenFlowコントローラの多くは、ネットワークの仮想化機能まで実装されており、特定のユースケースに最適化されたアーキテクチャという。「Trema」「Floodlight」「NOX」といったオープンソースソフトウェア(OSS)のOpenFlowコントローラは、特定のユースケースに依存しないフレームワークだが、現状では検証用としての活用が中心で、商用システムに最適な形で導入されている事例は多くないと説明している。

 こうした状況を踏まえて、NTTデータはそれぞれのユースケースに対応したOpenFlowコントローラを構築できる商用のフレームワークとして、バーチャルネットワークコントローラ バージョン2.0を開発している。同フレームワークは、OpenFlowスイッチと通信する「VNC(Virtual Network Controller)-NOS」と、スイッチングなどのネットワーク機能を提供する「VNC-AP(Application)」で構成される。

 VNC-NOSの機能はAPIである「VNC-NOS API」を通して利用でき、サードパーティーがVNC-APを自由に実装できるアーキテクチャとなっている。VNC-NOSが各ベンダーのスイッチの仕様の違いを吸収するため、VNC-APは各社スイッチとの接続性を意識する必要はないという。こうしたことからネットワークを構築する事業者は、スイッチの仕様にとらわれることなく、ユーザーのニーズを満たすネットワーク機能を柔軟に構築できるとメリットを説明している。

 今回のフレームでは「VNC-Standard AP」として仮想ネットワークを構築、制御する機能を提供する。この機能は、クラウド基盤管理ソフトウェア「OpenStack」と連携することで、VNC-APを新たに開発しなくても、クラウドを構築できるという。

 2月1日から募集する開発パートナーは、VNC-APの開発を推進する。VNC-NOS APIを利用することで、多様なサービスの要件に対応したVNC-APを独自に開発できる。開発したVNC-APは、開発パートナーのデータセンターで利用できるだけでなく、社外に販売することもできる。今回のフレームワークの利用ライセンスは、開発パートナーに割引価格で提供する。

 フレームワークの購入を検討する事業者向けに、期間と機能を限定した“お試し開発版”の提供を2月1日から提供する。お試し開発版では、接続できる台数を制限したフレームワークでVNC-Standard APIを使用した仮想ネットワークの構築検証、VNC-NOS APIを利用した検証アプリケーションの開発などができる。

 バーチャルネットワークコントローラ バージョン2.0はOpenFlowのバージョン1.0に準拠している。現在は「NEC UNIVERGE PF5240」「IBM RackSwitch G8264/G8264T」「Riava AS4600-54T/L3」「Pica8 Pronto 3290/3780」「Open vSwitch 1.4.3」といったスイッチと正しく接続できることを確認している。

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