安斎社長は、「SAPジャパンの事業構造が大きく変化している。5つの事業領域のうち、アナリティクス、データベース、モバイルに注力し、これが全体の60%を占めることになる」とERPビジネス以外での実績を強調。
一方、アプリケーション領域では「HANAとの整合性を図るために保守期間を2020年まで延長したことに加えて、四半期ごとにバージョンアップを繰り返している。1月に発表したSAP Business Suite Powered By HANAは、HANAという単一のプラットフォーム上で情報系と基幹系が動作する画期的なものであり、2013年に最も力を注ぐ製品となる。この製品については、2月20日過ぎには会見を開いて詳細を説明する。お客様向けイベントは、3月7日に予定している」などと語った。
クラウドビジネスについては、「まだ日本での規模は小さいが、サクセスファクターズとアリバの買収により、いよいよ本格的に立ち上げていくことになる。世界15カ国で展開しているSAP Business ByDesignは、今年後半に日本版を提供する。2013年はクラウドの事業比率を明記できるような規模にしたい」と語った。
2013年のSAPジャパンのフォーカスポイントとしては「CUSTOMER FOCUS」「INNOVATION」「ECOSYSTEM」の3点をあげた。
「CUSTOMER FOCUS」では、顧客のビジネスイノベーションへの貢献、最終顧客と消費者への価値提供をあげ、「DESIGN THINKINGの考え方をベースに、お客様の悩みや課題を理解していくことに力を注ぎたい。SAPジャパンは、お客様の姿がしっかり見えているわけではない。お客様を知るためには、“お客様のお客様”を知ることが大切であり、そこにフォーカスしていくことを徹底したい」などとした。
また、「INNOVATION」では「昨年はソリューションといっていたが、今年はそれをイノベーションに変えた」述べ、「SAP HANA、モバイル、クラウドといった領域の製品に対して、足し算でなく、かけ算で効果を出すために投資をしていきたい」とした。
「ECOSYSTEM」では、イノベーションビジネスの拡大、グローバリゼーションの強化、OEM展開によるコ・イノベーション(協働イノベーション)の拡張に乗り出す姿勢を示し、「パートナービジネスではERPがまだ6割を占める。新たな領域でのパートナーシップを強化していく必要がある。これまでサイベースを担いでいたパートナーとの連携強化も図りたい」と語った。
また、「500〜1000億円の企業を対象にした営業統括部門を新設したほか、500億円以下の企業に対してはパートナービジネスで展開していくことになる。500億円以下の市場では前年比70%以上の成長を遂げており、今年も引き続きフォーカスしていく」とした。
安斎社長は「SAPジャパンの製品がイノベーションであるというのではなく、これを活用して、お客様のプロセスや事業をイノベートすることが大切である」と語りながら、「“Real Real-time Business”の実現を掲げ、リアルタイム経営をお客様に近いところで提案していきたい。41年前の創業時に掲げたリアルタイム経営を本当の意味で実現する1年になる」とした。
「SAPジャパンは、ビジネスプラットフォームを提供する会社にならなくてはいけない。そのためには、オープンであり、単一の環境であり、シンプルなものを提供する必要があると考えている」(安斎社長)
一方で「アジアパシフィックにおけるSAPジャパンの貢献度は、売上高では25%、利益では30%以上。しかし、アジアパシフィックの経営トップの会議に出席している日本人は私だけ。構成比は5%に留まる。グローバルで活躍できる人材を育成していく必要がある」などと、社内の課題を指摘した。
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