米Forrester Researchが先頃発表したレポートでは、SASをビッグデータアナリティクス分野の「最強ベンダー」と評価しているが、果たしてビッグベンダーがひしめく激戦市場でこれからも勝ち続けていけるのか。今後のSASの奮闘ぶりに注目しておきたい。
「今回の新製品の登場は、私のIT業界での三十数年のビジネス半生でも、最もエポックメーキングな出来事だ」
(SAPジャパン 安斎富太郎 代表取締役社長)
SAPジャパンは2月20日、同社のERPを含む業務アプリケーションのスイート製品「SAP Business Suite」をインメモリデータベース「SAP HANA」上で動かすことを可能にした「SAP Business Suite powered by SAP HANA」(Suite on HANA)を発表した。安斎氏の冒頭の発言は、その発表会見でSuite on HANAの意義について語ったものである。
SAPは2010年12月にHANAを同社製品群の中核技術に据え、トランザクション処理(基幹業務系)、分析や計画、解析処理(情報系)、高速化処理(補完技術)のすべてを統合して変革するというビジョンを打ち出した。今回のSuite on HANAは、そうした取り組みの中でも最大のマイルストーンと言っていい。

SAPジャパンの安斎富太郎社長
Suite on HANAでは、業務アプリケーションの処理をHANAで実行することによって、数十から数百倍のパフォーマンスが実証されているという。Suite on HANAの詳細な内容については、すでに報道されているので関連記事をご覧いただくとして、ここでは安斎氏が強調していた同製品の最大の特徴について紹介しておこう。
それは「これまでITが抱えていた時間や場所、利用者といったすべての制約から解放される」ことにあるという。さらに、同製品によってビジネスイノベーションを起こすだけでなく、業務プロセスの改善などで運用コストを大幅に削減できることも強調した。
安斎氏はまた、こんなエピソードも披露した。
「Suite on HANAはSAPの共同創業者の1人であるHasso Plattner氏が2006年に、若い人たちと次世代のERPについて議論した際に出てきた“インメモリ上でERPを動かしたい”という発想が結実したものだ。とはいえ、当時は技術的なハードルの高さから20年以上かかるとみられたが、実際には5年ほどで実現した。これぞまさしく次世代のERPと呼ぶに相応しいものだ」
この発言からも、Suite on HANAがSAPにとっていかに戦略製品であるかがわかる。果たして“次世代のERP”の主流になるか、注目しておきたい。
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