三国大洋のスクラップブック

アマゾンはなぜ無人機配送の構想を公表したのか

三国大洋

2013-12-06 17:26

 Amazonが開発した商品配達用の小型無人機(ヘリコプター)の映像を、既にご覧になった人も多いと思う(下掲の映像を含んだニュースがNHKなどでもが何度か流れていた)。

 この「Amazon Prime Air」と呼ばれるサービスの構想は、日曜(12月1日)の晩にCBSの老舗報道番組『60 minutes』の中で初めて明らかにされたもの。


 この日は、いくつかあるネタのひとつがAmazonの特集だったようで、Prime Airのほかにも、Jeff Bezosへの(番組ホストの)Charlie Roseによるインタビューや、巨大な配送センター内部の紹介、さらには開始から比較的日の浅いハイ・ファッション(Amazon.com/Fashion)分野の取り組みや、本格化一歩手前といった状態にある独自ドラマ制作の様子などにも触れられていた。

Amazon's Jeff Bezos looks to the future

 この無人機(よく、drone"ドローン"と称される)の映像、放映されたのが感謝祭週末の最後の晩――おそらく多くの人が自宅に戻ってほっと一息ついていたであろうタイミングとあって、米国でもかなり大きなインパクトがあったようだ。

 Techmemeへのさまざまなニュース(見出し)の集まり方からはそんな印象も受ける。無人機の利用については、戦場での試みなどをはじめとして、少しずつニュースで目にする機会も増えていた(註1)。けれども、番組中で「サイエンスフィクション」という言葉が出てくるように、多分視聴者にはまだ身近なものとは認識されていない。ところが、そんなものをごく身近な存在であるAmazonが……というところが、なおさら大きな反響につながっていたのかもしれない。

 そうしたことも手伝ってか、この話題を一斉に報じた各媒体の報じ方も(言葉を選ばずにいえば)通り一遍なもの――例えば、60minutesの番組中でBezosが「(Prime Airが実現できると)半径10マイル以内の場所なら、オンラインで注文が入ってから30分以内に商品を届けられるようになる」「Amazonで現在さばいている注文(アイテム)の86%は、重さが5オンス(約2.3キロ)以下であり、この無人機で配達可能」などと説明したとか、「技術的にはすでに実用段階にあるけれど、FAA(米連邦航空局)などの承認を受けなくてはならないので、そうした調整(法制度整備ほか)などに今後4~5年はかかりそう」と言っていたとかの紹介、あるいは「大都会では実現はなかなか難しかろう」といった、書き手の感想などに終始している印象も強い。

 一方、番組放映から少し時間を置いて――ストレートなニュースがひと通り出そろった後で公開されたコラムの中には、気の利いた考察などが含まれるコラムもいくつか見受けられる。今回はそうしたコラムを2つほど紹介する。

 CBS傘下のCNETが運営するZDNetのブログ記事では、60 minutes取材スタッフの驚きぶりが伝わってくるような映像――雑誌でいう編集後記に相当するものも紹介されている。

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