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三国大洋のスクラップブック

高級ブランドvsハイテク企業--アップルの2つの側面 - (page 2)

三国大洋

2014-02-17 07:56

Hermes、Louis Vuitton、Apple

 ところで。Businessweek(BW)によると、ニューヨークの五番街にあるApple Storeには、SIMロック無しのiPhoneを求めて世界各地からたくさんの買い物客が集まってきているらしい。中でも「iPhone 5s」のゴールドは大人気で、ふだんはBWのローマ駐在をしている筆者が「1つください」といったら、店舗スタッフからびっくりされ、「ほんとうに1つだけでいいの?」と問い返された、などとある(この筆者、「ロサンゼルスで入ったApple Storeでもやはり〝ひとつでいいの?″』と訊ねられた」と後で付け加えている)。

 Vermon Silverというこの記者は、ローマの家で雇っているお手伝いさんから「『米国に行くのだったら、32GBのゴールドモデルを買ってきて』と頼まれて五番街のApple Storeに足を運んだ」などと説明しているが、この背景にあるのは、各国で販売されているiPhoneの価格差だ。筆者によると、ニューヨークなら税込みでも815ドルで買えるものが、ローマでは1130ドル(839ユーロ)もするという。しかも、この839ユーロという金額は、頼んだ女性のほぼ1カ月の賃金に相当――つまり「32GBのiPhoneを買ってきてもらえたら、1カ月タダ働きしてもいい」と言われたということだろう。

 「世界のいろいろな土地で、iPhoneがどれくらいの価格で販売されているか」というのは、かなり以前から見かける情報で、最近でもBusiness Insiderに掲載された「The True Cost Of An iPhone Around The World」という記事に、16GB版iPhoneの価格を比較したふたつのグラフが載っていた(データの情報源ははMobile Unlockedというサイトにある「iPhone 5S Price Index」)。

 世界40数カ国での価格を比較したこのグラフ、1つはドル換算の金額の比較で、もうひとつは一人あたりGDPを分母にした場合のiPhoneのパーセンテージ。絶対金額で一番安いのは約700ドルの米国とアラブ首長国連邦(UAE)で、一番高いのは1200ドルのブラジル、またイタリアは約1000ドルで他の欧州諸国とほぼ同じ水準。

 ところがGDP比だと米国は安い方から4番目に後退し、800ドル近くするシンガポールよりも高くなっている。さらに絶対額で800ドル半ばのインドは、GDP比では約22%~23%と最も高く、Appleが一番気にかける中国もGDP比10%弱(絶対額はインドとほぼ同じ)、またイタリアはだいたい3~4%といったところで地中海沿岸や東欧の諸国と同じ水準といったことも読み取れる。

 さて、上記のBW記者は「五番街のApple Storeでは英語以外のいろいろな言語が飛び交っている」「欧州ではゴールドモデルの人気がもっとも高く、ゆえにいちばん再販しやすいと店のスタッフが教えてくれた」「右側では、サウジの銀行が発行したクレジットカードを手にした男が、その日3つめか4つめとなるiPhoneを買おうとしていた」などとも書き、そのうえで「iPhoneが、Louis VuittonやGucci、あるいは1990年代に東欧で人気を博したLevi'sのようなブランドものと同様の存在になっている」「iPhoneが部分的にお金の代わりを果たすようになっている」などと指摘している。

 また1月半ばに出ていた別のBW記事では、中国の富裕層(資産1000万元=160万ドル)を対象にした調査――「Chinese Luxury Consumer Survey」という名前で今年で10回目――の結果が紹介されているが、ここでも贈り物の人気アイテムとしてApple製品が挙がっている(男性が女性に贈るものとしては2位、女性が男性からもらいたい物としては3位)。なお、男性が女性に贈りたいものの首位はHermes、女性がもらいたい物の首位はChanelで、ほかにLouis Vuitton、Gucci、Cartier、Pradaなどのブランドがランキングの上位に入っていたという。

 2013年にはBurberrysやYves Saint LaurentといったブランドのCEOが、Appleに引き抜かれたといって話題になっていた。そのことを考えると、Appleがこうした高級ブランドと肩を並べる存在として一部の消費者に認知されているというのはそれほど意外なことでもないかもしれない。

 CookはWSJとのインタビューで、めずらしく日本での(10-12月期の)実績を詳しく語っている。「ドル建てに直すと前年比11%の伸びにしかならないけれど、為替変動分を抜きにすると前年比37%増だ」などと述べている。NTTドコモによるiPhone取り扱い開始という(一時的)要因にまでは言及していない(文字にはなっていない)が、「これまで通りのやり方でも、まだ十分に事業を伸ばしていける」ことを示す材料として日本のことを持ち出しているようにも受け取れる。

 「China Mobileの7億6000万人超という契約者の分をあわせても、自社製品を提供できる携帯電話利用者の割合は、まだ世界全体の約3分の2」などという部分を併せて読むと、さらにその印象が強まる。同時に「まだ伸びしろが3分の1も)残っている」というのなら、「ほぼ前年並み」という現四半期(1~3月期)の業績予想はどうなのか、といった意地悪な考えも頭に浮かぶが。

 ここで気になるのは、そうした世界有数のラグジュアリーブランドとしてのApple――Steve Jobsが早くからBMWのことを口にしていたのも思い出される――はしばらく安泰と仮定して、その上で「テクノロジ企業としての存在感」はみたいなものはどうなのか、という点だ。

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