Appleは2014年の「Worldwide Developers Conference」(WWDC)において、新たな開発用プログラミング言語「Swift」の最初のバージョンをリリースした。本記事ではSwiftをざっと見てみた開発者らによる最初の評価を紹介する。
Appleが先ごろ開催したWWDCの場における最も重要な発表の1つは、Swiftというプラットフォームとそれが開発者にもたらすものについてであった。Objective-Cのシンタックスに違和感を感じるプログラマーが数多くいることを考えると、Swiftはそういった人々の生産性を大きく向上させる可能性を秘めている。
ほとんどの開発者はSwiftを用いた将来のプロジェクト(少なくとも1年先になるだろう)を心待ちにしているものの、一部の開発者らは事態が迅速に進みすぎであると感じている。例えば、開発者でありライターでもあるMarco Arment氏はブログ投稿で、Swiftにおける標準や期待できることとともに、新たな動作を把握するためにじっくりと時間をかけるつもりだと記している。
なお、Appleは興味深く、今までにない動きとして、WWDC 2014におけるすべてのプレゼンテーション動画を公開している(昨年は登録した開発者だけがアクセスできた)。Swiftの概要を知るには、開発広報エンジニアのTim Isted氏とDave Addey氏による「Introduction to Swift」を視聴してほしい(訳注:視聴にはApple Developer登録が必要となる)。
Michael Fortin氏は、Swiftの安全性にまつわる特徴について、自らのブログに以下のように記している。
AppleはSwiftが安全性を重視した設計となっていると述べている。ただ、Swiftの設計にはマルチスレッドコードに起因するメモリ破壊を防ぐ手立てが講じられていないという点は心に留めておく必要がある。また、この言語のドキュメントにスレッドや並列性の記述が一切無いというのは衝撃的であった。(メモリ破壊を伴うようなスレッドを)単に不正なものにするつもりなのかもしれないが、少し意外に感じられた。
マルチスレッドに関するこういった記述がない点は別にして、Swiftはメモリ破壊を伴うバグに対する安全性を確保できているようである。なお、(プログラミング言語Rustのunsafeブロックのような)一時的に安全性を犠牲にする方法が用意されていないため、安全でない動作を必要とする際には、CやObjective-Cを利用することになるだろう。