逆に、Googleはほかの製品を使っている顧客がGoogle Cloud Platformも利用するよう仕向けることに力を入れる必要もある。もしエンタープライズ顧客に魅力を感じてもらいたければ、Googleは一体的な価値を提供しなくてはならない。Staten氏は、これにはスイート型のサービスや、それに似たものがふさわしいかもしれないと述べている。
これは、ビジネス顧客の間でGoogleの評判が低いということではない。むしろより大きな問題は、こうした先発の企業パートナーの多くは、長期にわたって協力関係にある別の企業との間に、すでにより深い信頼を築いているということだ。それ以上の信頼を築くには、Googleは同社の広告中心の収益モデルを真剣に見直す必要があるだろう。
Staten氏は、「エンタープライズ顧客は広告を嫌う。従って、それらの企業はGoogleが歴史的に取ってきたモデルのアンチテーゼ側に立っている」と述べている。これはGoogleがより多くのエンタープライズ顧客を取り込むためには、同社のアプローチを変更し、単なる広告企業以上のものとして認知される必要があるということだ。このことは、Googleの収益モデルの多様化を後押しすることになるかもしれない。
Googleはこれまでのところ、価格や、契約を取るための積極的な動きの面で良い仕事をしているが、エンタープライズ顧客との関係を改善するためにできることは他にもある。
「Googleにとって重要なのは、エンタープライズ顧客と関係を築くことは、一般消費者と関係を結ぶこととは大きく違うことを理解することだ」とStaten氏は言う。
Staten氏は、Googleはエンタープライズ顧客を相手にするやり方でものを売っていないと考えている。エンタープライズ顧客は、消費者相手の販売モデルでサービスを受けることを好まない。ビジネス顧客は、特定の名指しで簡単に連絡ができる販売担当者といったことを重視する。
またエンタープライズ顧客は、カスタマイズされた対応を得られるサービスを選ぶ傾向がある。彼らには、同じ質問を抱える何千人の一般消費者の列の後ろに並ぶことのない顧客サポートが必要だし、当然個別のSLA契約を結びたいと考える。しかし、Goldfarb氏によれば、Googleはエンタープライズ顧客と一般消費者との違いを理解しているという。
「過去12カ月の間に、エンタープライズ顧客への販売やサポートの提供のために多くのことをしてきた」とGoldfarb氏は述べている。
GoogleはCloud Platformのエンタープライズ顧客に関して、顧客が特定の販売担当者に連絡することができる、技術アカウント管理チームを提供している。Goldfarb氏はまた、年中無休24時間利用可能な複数言語サポートシステムと、エンタープライズ顧客だけを担当する1000人以上のチームについても触れた。
Staten氏によれば、Googleは確かにAWSやAzureに対抗することができるが、本当に対等に戦うためには、まだいくつかの面で追いつくべきことがあるという。
「Googleは確かにある程度進歩しているが、おそらく彼らがこの市場で必要だと思っているほどの速さではない。必要なのは、Amazonに追いつきながらサービスを差別化するという、2つのバランスを取ることだ。このバランスを取るのは難しく、適切なバランスがどういうものかはあまり明らかではない」とStaten氏は語った。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。