1.複雑性の解消
複雑なITは新商品を迅速に市場投入することを妨げ、機能追加や規制対応のコストやリスクを増加させるため、大きな懸案事項だ。これは、ほとんどの最高情報責任者(CIO)にとって、悩みの種となっている。
一方で、A.T. カーニーの調査では、多くの企業がシステム統合やシンプル化に労力をかけているにもかかわらず、アプリケーション数は2020年まで増加し続けることが分かっている(図表4)。

図表4
また、スマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、モバイル端末との連携が拡大するなど、システム間連携も同様に増加すると見ており、大半のCIOが「4分の3を超えるアプリケーションがモバイル端末との連携機能を持つことになる」と予想している。
しかし、標準パッケージシステムを活用すれば、アプリケーション数やシステム間連携が増加しても、ITコストの抑制やスピーディなIT導入を実現できる。約80%のCIOは、標準パッケージシステムによって、必要機能の半分以上がカバーされると予測している。また、約25%のCIOは、必要機能の大半(約8割程度)が標準パッケージシステムでカバーできると考えている。つまり、労働集約型のカスタム開発への投資は、今後不要になると予想されているわけだ。
この利点は明快である。標準パッケージシステムは、新商品の投入に必要な工数を削減する。規制対応への投資はソリューションベンダーが担い、バージョンアップやリリースのタイミングでユーザー企業は利用可能となる。プログラムミスのリスクはベンダーに帰属し、ユーザー企業のIT組織はガバナンスや、標準ソリューションをベースとした業務プロセス設計に集中できる。
特に、ERPなど標準パッケージシステムの市場は成熟してきており、この仕組みに切り替えることで、システムのシンプル化を実現できる。標準パッケージシステムは、ビジネス要件によりフィットする機能を提供し、ITのビジネス上の価値を高める。