A.T. カーニー「2020年のIT」

カスタム開発減少、アウトソーシング増加、IT部門のスキル不足--2020年の課題と解決策 - (page 3)

A.T.カーニー 戦略ITプラクティス 監訳:東京オフィス プリンシパル 安茂 義洋

2014-08-20 07:00

製薬企業A社と通信事業者B社の事例

 この点を的確に示す、A.T. カーニーが支援した企業事例を紹介しよう。

 製薬企業A社は、自社の成長に貢献しない旧来のERPシステムに悩みを抱いていた。このシステムは、全ての業務プロセスをカバーできていないばかりか、自動承認や分析といった機能も十分ではなかった。

 同社は現在、このERPシステムのリプレースと関連するインフラや保守、運用サポートのアウトソーシングに着手している。ソリューションとしては、この企業の必要機能の90%に標準で対応可能なテンプレートが選定されている。その導入メリットとして、新商品の投入に必要な期間を劇的に短縮し、規制やビジネス要件の変化に迅速に対応できることが挙げられている。

 多くの企業は、複雑なアプリケーションに日々奮闘し、シンプル化の方策を模索している。システム開発費用、保守・運用費用の増加など、従来の古いアプリケーションは、しばしば業績低迷の一因となる。これまでのカスタム開発やEUC(End User Computing)の流れは、システムのすばやい導入や、追加開発の柔軟性の制約となる。しかし、多岐にわたるシステム間連携が実装されたアプリケーション群の統合には、多額の費用を要する。

 標準パッケージシステムを利用することで、古いアプリケーション群のリプレースを低コストで実現し、ソフトウェアベンダーにシステム開発や維持、運用を任せることができるであろう。

 次に、通信事業者B社の事例を紹介する。この企業は、業務支援システムを刷新し、消費者から大企業に至るまで、すべての顧客ベースを標準パッケージシステムに移行することを計画していた。A.T. カーニーのソーシングアプローチにのっとり、ビジネス要件を明確化し、候補となるソリューション間の選定を進めた。

 決定的な要因は、標準化、導入・移行スピード、今後のビジネス要件のプログラムレスでの対応能力が挙げられた。この結果、業務支援システムのリプレースは、ITのみならず企業全体のコスト効率や業績改善のイネーブラーとして認知されるに至っている。

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