日本のICT産業が世界で戦うには
以上で見てきたように、日本のICT産業は海外に比べて国際競争力が低い傾向にある。しかし、日本企業に現在ある強みを活かしながら弱みを減らしていく方向性はあるだろう。日本のICT産業では、製品やサービスの機能や品質、開発力が強みと認識されている一方で、意思決定速度が遅いことや価格競争力が弱みとされている傾向にある。また、日本では企業の新陳代謝が乏しく、新規上場企業が少ないことが欠点として挙げられる。

「我が国ICT産業における強みと弱み」出典:「平成26年版情報通信白書」(総務省)
原出典:総務省「ICT産業のグローバル戦略に係る成功要因及び今後の方向性に関する調査研究」(平成26年)

「各国の廃業率と開業率」出典:「平成26年版情報通信白書」(総務省)
原出典:中小企業庁「2014年版中小企業白書」(平成26年)
特殊なレイヤとして、上位レイヤ(プラットフォーム)では、サービス開始初期から急激にユーザー数が伸びる傾向にある。例えばLINEなどは19カ月で1億人を突破しており、TwitterやFacebookより速い。ユーザー数は囲い込みの観点でも重要で、M&Aによる事業拡大も内外で多く見られる。また、スマートフォンゲームアプリ市場では、日本と日本企業が顕著な売り上げと成長を見せている。この他、さまざまなレイヤでの国際競争力の向上方法とその事例について挙げられている。
(中編に続く)
- 田島逸郎
- いくつかのスタートアップに関与しながら、スマートフォン情勢に関心を持ち、個人的に調査、記事の執筆などを行っていた。現在は地理空間情報系のスタートアップで、主にGISやオープンデータなどに携わる。