オラクル、OpenStackディストロを日本でも--Icehouse採用、プラグインにも対応

齋藤公二 (インサイト) 2014年10月09日 13時40分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 日本オラクルは10月8日、Linux環境向けの独自Openstackディストリビューション「Oracle OpenStack for Oracle Linux」の正式提供を開始した。5月に米アトランタで開催された「OpenStack Summit」で発表され、米国では9月24日に正式リリースされた。

 Oracle OpenStack for Oracle Linuxは、OpenStack最新版である“Icehouse”をベースに開発された、「Oracle Linux」やハイパーバイザの「Oracle VM」を統合管理できるOpenStackディストリビューション。リポジトリの「Oracle Public Yum Server」や「Unbreakable Linux Network(ULN)」から無料ダウンロードして、Oracle Linuxに追加インストールすることで利用できる。

 OpenStackのコンポーネントとしては、Nova(コンピュート)、Neutron(ネットワーク)、Cinder(ブロックストレージ)、Swift(オブジェクトストレージ)、Glance(イメージ管理サービス)、Horizon(ダッシュボード)、Keystone(ID管理)を提供する。

 Oracle VMがサポートするOracle Linuxや「Oracle Solaris」、Windows、そのほかのLinuxディストリビューションなどに対応しており、OpenStack向けに用意されたプラグインやエクステンションを統合できる。サードパーティ製のソフトウェアやハードウェアとの統合も可能で、ユーザー企業の選択肢と相互運用性が広がるとしている。

Edward Screven氏
米Oracle チーフコーポレートアーキテクト Edward Screven氏

 米Oracleでチーフコーポレートアーキテクトを務めるEdward Screven氏が、Oracle LinuxやOracle VMの優位性、Oracle OpenStack for Oracle Linuxと他ディストリビューションの違いなどを解説した。

 Screven氏は、経営執行役会長兼最高技術責任者(CTO)のLarry Ellison氏直属のアーキテクトであり、Oracle製品全体にわたって個々の製品と全体戦略との間に一貫性を持たせながら、テクノロジとアーキテクチャの開発計画を策定しているという。Linuxや仮想化技術、MySQLを含むオープンソースビジネスの責任者でもある。

 Screven氏によると、Oracle OpenStack for Oracle Linuxと他のOpenStackディストリビューションの違いは、大きく4つある。

 1つは、「MySQL Enterprise Edition」との統合が可能なこと。MySQL Enterprise Editionを導入している環境では、MySQLかOracle OpenStack for Oracle Linuxかのどちからに一方の製品を統合して、性能やセキュリティ、連続稼働時間の最大化、サポート窓口の一本化を図られるという。

 2つめは、ユニファイドストレージ「Oracle ZFS Storage Appliance」に統合できるプラグインを提供していること。ブロックストレージのCinderプラグインを使って、ZFS Storageが提供するストレージ機能を利用できるようになる。

 3つめは、独自のディストリビューションでありながら、Oracleのハードウェアだけでなく、サードパーティのハードウェアでも動作することだ。分散ストレージ技術である「Ceph」ソフトウェアもサポートしており、今後、Cephへのサポートをディストリビューションに追加する計画だという。

 4つめは、Oracleの“エンジニアドシステム”で高度な性能と信頼性を実現できること。たとえば、ダウンタイムゼロでカーネルパッチのアップデートやカーネル診断を行うことができる「Ksplice」機能、Linux向けに開発された「DTrace」を使った包括的なトレースや診断、メモリをチェックしてデータベースへの不正なデータエントリを防ぐ「Data Integrity」機能などが利用できる。

 「Oracle Linuxはすべての製品のベース開発プラットフォームとして検証が続けられている。Oracle VMはx86とSPARCの両方に対応し、ライブマイグレーションや動的リソーススケジューリング、自動パワーマネージメントなどを提供できる。高速、信頼性、スケーラブル、安全性が特徴だ。Oracle OpenStack for Oracle Linuxで大規模、マルチテナントなクラウドの本番環境の構築と管理が可能だ」(同氏)

 たとえば、サーバ数千台規模の環境で、カーネルパッチの適用とサーバの再起動作業は大きな負担とリスクを招く。Kspliceが利用できるOpenStackクラウドはこうした環境に対して大きなメリットになるという。2007年以降100万以上の本番環境向けKspliceバッチを提供してきた実績があるとした。

 Screven氏は、VMware環境(ESXi+vCenter)と比較しても、Oracle VMが数々の優位性あることを強調した。たとえば、1仮想マシンあたり最大64vCPUであるVMwareに対して、最大128vCPU、メモリが1Tバイトと2倍もスケーラブルであること、追加費用なしで管理ソフト「Oracle Enterprise Manager」を利用できること、クラスタリングソフト「Oracle RAC」や統合基幹業務システム(ERP)パッケージ「Oracle E-Business Suite」などのアプリケーションをVMware環境の7~10倍高速に仮想化できるという。

 「ハードウェアとソフトウェアを統合したエンジニアドシステムを使って、コンピュートやストレージ、ネットワーク、管理ノードといったOpenStackクラウドのすべてのパーツをサポートできる。Linuxに対しては15年にわたって投資を続けてきた。Oracle OpenStack for SolarisでLinux以外にも対応している。こうしたベンダーはOracleだけだ」とScreven氏はアピールした。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]