MITとともにインメモリ技術を研究するラボ
最近になり、SAPやOracleといった大手ERP企業が、データベースにインメモリ技術などを取り入れ、処理の高速化を図っている。こうした動きについて聞いた。
「InforではMIT(マサチューセッツ工科大学)の教授を中心メンバーにして『Infor Science Lab.』という組織を作っています。主に予測型のアルゴリズムを研究している専門家チームがHadoopなどのビッグデータ解析の基盤を使って研究を重ねています。実際、競合のERPベンダーの技術者がラボの解析基盤を利用することもあります。このプラットフォームはクラウド上にあって、基本的に無償で提供しています」
ラボで予測型のアルゴリズムを研究してい目的の1つは、当然Infor自身のソフトウェアの機能拡張にある。システム内のデータのアクティビティを分析して、SaaSのよりスムーズな活用を実現することなどに使われることになりそうだ。
データ分析の迅速化ということも、昨今のERPに求められている。オンプレミスのシステムで分析スピードを上げるのか、クラウド上の最適化されたソリューションで解析を進めるのか、どちらに利点があるのかということも話題に上ってくるかもしれない。
また、CloudSuiteのインフラ面の稼働環境としてAWSを利用している点について、日本のユーザーの反応はどうなのかという点も聞いた。Phillips氏も尾羽沢氏も「日本のユーザーは思ったほど(セキュリティ面などの)懸念は抱いていない」との印象を持っているようだ。
「われわれはインフラを売っているのではありません。通常のERPの導入では、予算の半分がハードウェアなどインフラ部分に関するもので費やされてしまう。アプリケーションサービスを売るというモデルを取る当社にとって、キャパシティとコストの面でAWS以外のサービスを選択する考えはありませんでした」とPhillips氏。
Phillips氏は、ユーザーが柔軟な活用ができるように今後も拡張機能の充実を図っていくとする。サードパーティのアプリケーションや外部のクラウドとの連携機能も高めていく考えだ。
CloudSuiteはメインシステムとしてもサブシステムとしても使えることを目指している。ERPベンダーの多くは、企業システムの中心、主役の座に自社製品を当然のごとく押し立てようとするが、CloudSuiteではそれをなるべくユーザーに委ねようとしているように見える。このあたりも、実はERPの新たな潮流と言えるかもしれない。