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アップルCEOティム・クックの新たな戦い--「ゲイ告白」への反応など - (page 2)

三国大洋

2014-11-01 00:00

 Cookがなぜこのタイミングでカミングアウトすることにしたか。その点を知る手がかりのようなものはどこにも見つからないが、この1年くらいの間には今回の公表に至る布石のようなものがいくつかあった。前述の言動もそうだし、アリゾナ州で宗教的な理由からゲイの顧客へのサービスを拒否できるとする法案が議会にかけられていた際にも、アップルがこの法案の成立に反対するよう州知事に伝えたという話もあった。

 また週のはじめ(27日)には、Cookが故郷のアラバマ州で行った講演のなかで、LGBTの人権擁護の取り組みが遅れている同州の状況――いまだに性的志向を理由に従業員を解雇することなどが認められているという――に触れ、その改善を求めたという話も伝えられていた。


(アラバマ州での講演の様子)

 それとは別に、Appleの経営に関するモメンタムが数カ月前から大きく改善してきていることも、このタイミングでの公表につながった可能性がある。iPhone 6(と同6 Plus)の売れ行きが絶好調というのはいろんなところで報じられている通りで、またApple PayやApple WatchなどCook体制下でつくられた新しい製品・サービスも発表されて反応も上々。さらに株価も過去最高値を更新し、「いまなら(ゲイであることを公表しても)それほど波風はたたないかもしれない」……。そんな読みがCookのなかにはあったのかもしれない。

 この話題に触れた各媒体の反応を見ると、全体的にはBusinessweek寄稿記事の内容紹介に終始しているといった印象が強い。Cookのカミングアウトを積極的に評価、擁護するにせよ、あるいは懸念材料を示すにせよ、「うっかりしたことは書けない」といった心理が媒体側で働いているのかもしれない。

 2013年6月下旬に米最高裁で同性婚を認める判決――それを認めないとするカリフォルニア州の法律を無効とする判決――が下されていた時、あるいはNBAの現役選手が初めてカミングアウトした時や大学フットボールのスター選手がゲイとしてはじめてプロ(NFL)にドラフトされた時などとは、ニュースの扱い方に大きな違いが感じられる。Cookが記した差別反対という「大義」に、違和感あるいは反発を覚える保守的な考え方の人々がいないわけではないだろうが、そうした人々のコメントを拾った記事などはまだ見かけない。

 Cookのゲイ告白について、「Fortune 500の現役トップでは初めて」「世界一評価額の高い企業のトップが……」といったフレーズがすでにいろんなところで書かれているかと思うが、1つ特に注目したいのは、CookがLGBT=性的志向(sexuality)だけでなく、人種(race)、性別(gender)による差別にも反対するとしているところ。

 自分が尊敬するMartin Luther King牧師の名前まで持ちだしているのは、その点を強調するためかと思われる。自らを「少数派の側の人間」と位置付けること、裏を返すといまなお優勢な「白人、男性、ストレート」の連中を相手に戦う覚悟がCookの中にはできている…そんな見方も可能かもしれない。

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