スマートマシン時代の到来

「空の産業革命」をけん引するドローンの可能性--用途拡大で求められる法整備 - (page 2)

林 雅之

2014-12-03 07:00

 Amazonでは、本社および英国ケンブリッジの支社で、ドローンのフライトテストパイロットの求人募集も始めている。募集内容は、航空業界で5年以上のテスト飛行に携わった経験などを有し屋外でのフライトテストへの参加を主な業務とする「Flight Operations Engineer」とフライトテストの安全管理やセーフティポリシーの確認などの業務を担う「Flight Safety Manager」の2つの業種だ。

 今回の募集は、Amazonが「Prime Air」の本格サービス提供に向けて準備を進めており、配送実験を米連邦航空局(Federal Aviation Administration:FAA)に許可申請し、米連邦議会でドローンの商用飛行に関する規定制定の検討も進められていることから、2015年からサービスが開始される可能性は高い。

 Googleも2年前から新規プロジェクト部門「Google X」にてドローンで配送することを狙った「Project Wing」を米国より規制の少ないオーストラリアで実施テストを進めており、8月にはYouTubeで動画が公開されている。

 Googleは、4月には太陽光で稼働するドローンメーカーのTitan Aerospaceを買収し、へき地でネットに接続する環境を提供することを目的に、太陽光で稼働し最大5年間上空に滞在可能なドローンの試験許可を米連邦通信委員会(Federal Communications Commission:FCC)に申請している。

 世界運輸大手の独DHLは9月、AmazonやGoogleに先駆けて、クアッドコプタータイプのドローン「Parcelcopter(パーセルコプター)」による薬品などの緊急の医療品をドイツの北海沿岸にあるユースト島に輸送する実地テストの開始を発表した。

 実地テストは、アーヘン工科大学と独Microdronesによる共同プロジェクトで、ドイツの運輸省と航空当局から制限区域内での配送目的に限定した使用の許可を得て実施している。ドローンは1回で配送可能な重量は最大で1.2キログラムで、ユースト島にフェリーが運行していないケースなど、緊急に医薬品が必要となった場合、ドローンを使って配送する。

 DHLのような取り組みは、超少子高齢化が進む日本において、離島や山岳地域など、周辺にスーパーやコンビニなどがなく買い物が困難な地域に、商品配送を目的に活用される可能性もあるだろう。

多分野でのドローン活用

 ドローンは配送だけでなく、テレビや映画撮影、警備、災害救助、農業などさまざまな分野で活用されている。

 テレビでは、NHKの連続テレビ小説「あまちゃん」のオープニングなどがドローンでさまざまなアングルから撮影することで臨場感を出してお茶の間を楽しませた。長崎県にある端島「軍艦島」では、人が入れない場所を高解像度の4Kカメラを積んだドローンで撮影した高精細な映像が話題を呼んだ。

 バンドOK Goのプロモーションビデオ「I Won't Let You Down」は、2400人ほどのエキストラを使った傘を使ったダンスや、ドローンによるカメラワークが話題となった。YouTubeでの動画再生が、11月25日現在で1300万回を超えており、効果的なプロモーションにつなげている。

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