その他、NEXCO東日本が「スマートメンテナンスハイウェイ構想」で検討を進めている高速道路の状態監視や、綜合警備保障(ALSOK)が10月から施設空撮サービスと大規模太陽光発電所の定期点検サービスを開始したように、太陽光パネルの稼働監視、建設現場の空撮による調査、そして、原子力発電所の原子炉の状態監視、環境保全のための調査などの用途が考えられる。
ドローン向けOSの覇権争い
ドローンの商用化が進む中で、鍵となるのがドローンのプラットフォームとなるドローン向けOSだ。MicrosoftがPC、Googleがスマートフォンで、OSのシェアをリードしたように、ドローン向けのOSの覇権が、今後のビジネスの行方を大きく左右するだろう。
サンフランシスコのスタートアップ企業のAirewareはドローン向けOSの開発を進め、総額4000万ドルの資金を調達している。さらに、General Electric(GE)からの資金援助も受け、GEでの利用とGEの膨大な顧客をターゲットにした展開も予想されている。
GEは産業機器やセンサデバイスをネットでつなぎ、そこから収集されるデータをビジネスに活用するインダストリアルインターネットを推進しており、Airewareのドローン向けOSがGEのこれらの構想の枠組みに組み込まれることになれば、ドローン向けOSにおけるAirewareの存在感も一気に高まっていくことになるだろう。
ドローンの空撮や移動データなどの収集されるデータに対してビジネスを展開する事業者も出てきた。個人や企業向けにファイル共有サービスを提供するBoxはドローン向けサービスの提供に向けてSkycatchとデータ処理の領域で提携を発表しており、ドローンから収集されるデータを活用したさまざまなビジネスの展開が予想される。
標準化団体のLinux Foundationは10月13日、は、10月13日、3D Robotics、Baidu、Box、DroneDeploy、Intel、Qualcommなどによるドローン向けOSをオープンソースで開発する「Dronecode Project」の発足を発表した。現在、1200人を超える開発者が参加しているDronecode Projectでは、(非営利組織の)Linux Foundationが正式にプロジェクトとして維持管理することになったことで、多くの企業の参入が期待されている。
ドローン普及のためにはコミュニティも不可欠だ。「ドローンユーザグループネットワーク」が、米国やEU、アフリカ、オーストラリアなど20地域・6000人以上が参加するコミュニティとして、世界中に広がりを見せている。残念ながら11月の時点で日本からは登録されていない。9月には、DUGN主催で、社会革新のためのドローンの有効性に注目した「第1回ドローンソーシャルアワード」が開催されている。