米NBCはApple新本社の建設現場をドローンによる撮影映像を使い報道、米Wall Street Journalは電子版で香港の民主派によるデモの様子をドローンから撮影するといったように、ドローンで撮影した映像を使って報道する「ドローン・ジャーナリズム」が動き始めている。
2月にロシアのソチで開催された冬季五輪では、スノーボードやスキー・フリースタイルなどの競技ではドローンで撮影されたように、今後はゴルフや、マラソン、モータースポーツなど、スポーツの分野でも広がるとみられている。
映画では、9月にはFAAが6つの映画・テレビ制作会社に対し、映画撮影用のドローンの使用を飛行高度は400フィート(約120メートル)以下でドローン操縦はパイロット免許保持などの条件付きで認可したことを発表した。これまでも映画撮影ではドローンが使用されるケースがあったが米国外で撮影されていた。米国内での商業利用の認可はこれで2件目となる。
警備の分野では、大手警備会社のセコムは商業施設や工場や倉庫などの防犯に向けたドローンの開発を進めている。不審者が敷地内に侵入するなどの異常があった際には、自動的に飛び立ちその不審者に近づいて映像を記録する。ドローンは、不審者の着衣や人相を認識するとともに、不審者が逃走した際にも追跡機能によって、逃走経路や逃走手段などを的確に映像を記録し、即座に警備センターに通報する。
また、時速50キロの速度で不審車を捉え、車両の車種、色、さらにはナンバープレートの番号まで認識し、一定の距離まで追いかけ続け映像を記録し、捕まえられそうになるなどの危険性のある場合には距離をおくといったように、ドローン自体が自律的に行動することも可能だ。
災害の分野では、アイスランド噴火の際に、ドローンが火山に接近して噴火地点の上空から噴火中の状況を至近距離で撮影した。日本は110ほどの活火山があり、9月に起きた御嶽山の大規模噴火のように、至近距離での噴火状況の映像の記録や、不明者の捜索においても活用できるかもしれない。
ドローンは火山噴火だけでなく、震災や火災、津波災害などの緊急時においても災害現場の映像を記録し状況把握や、不明者の迅速な捜索などの救助活動への活用も期待される。
欧州連合(EU)では自動体外式除細動器(AED)を搭載した救急用ドローンの活用が進められている。緊急時に電話で呼び出すことで緊急用ドローンが1分足らずで空から駆けつけ、ドローンに搭載されたカメラを通じて緊急隊員が遠隔から的確な処置の指示をする。
EUでは毎年80万人が心肺停止となり、生存率はわずか8%の状況という。その理由として、緊急サービスの駆けつけが10分ほどかかってしまい、心肺停止から4~6分で脳死が起きるため、低い生存率となっている。救急用ドローンの場合、1.2キロ距離が離れていても(最大速度となる時速約100キロメートルで移動した場合)1分以内に駆けつけることができるため、生存率の大幅な改善が見込まれている。
農業では、農薬などを広大な農地で自動散布する農業用ドローンの活用が進んでいる。日本では農水省の調査によると、2013年度の普及台数は2500台を超えている。ドローンに搭載されたセンサやカメラを使い、農作物の育成状況を観察するといったことも可能だ。