現代のブラウザ戦争が本格的に始まったのは2004年のことだ。Mozillaの「Firefox」が2004年、「Internet Explorer」(IE)の完全かつ絶対的な市場支配に戦いを挑み、それから5年足らずでユーザー数を0人から数億人に伸ばすことに成功した。
Googleも2008年、「Google Chrome」ブラウザを発表して、それに続いた。Chromeは2012年にはFirefoxに追いついた。
この戦いは2014年に遂に終結したのかもしれない。
この10年間で多くのことが変わった。現在、モバイルデバイスの台数は従来のPCを上回っており、デスクトップブラウザの重要度はモバイルウェブクライアントやアプリに大きく劣るようになってしまった。現在の主要なプレーヤーは、Appleのモバイル版「Safari」とGoogleのChromeだ。Mozillaは大きな過渡期を迎えており、Microsoftは過去にIEで犯した罪の代償を未だに支払わされている。
そして、2014年、それらのブラウザはすべて揺るぎない地位にしっかりと収まったようだ。それぞれのブラウザの2014年末時点での現状報告を紹介する。
Google Chrome:世界制覇へ邁進
Googleは、最盛期のIEのような支配的な市場シェアの獲得を目指しているが、IEについて回るパフォーマンスとセキュリティ関連の悪夢は避けたいと考えているようだ。
Googleは、Microsoftが1990年代に採用した戦略をそっくりそのまま使っている。具体的には、支配的なシェアを誇る自社の無料サービス(特に「Google Search」と「Gmail」、YouTube)を使ってChromeブラウザを積極的に売り込み、Chromeアプリを必要とするさまざまな機能を追加している。その狙いは、Microsoftの「ActiveX」が(その悲惨なセキュリティ脆弱性を発生させることなく)ウェブの黎明期に強要したのと同種の囲い込みを作り出すことだ。
上のスクリーンショットを見て、「Best viewed in Internet Explorer 6」(「Internet Explorer 6」での閲覧に最適化されています)という文言を思い出す人は少なくないはずだ。
その戦略は功を奏しているようだ。ほかのブラウザのシェアが横ばい、または減少する中で、Chromeは今もゆっくりとではあるがシェアを伸ばしている。Net Applicationsによると、2014年末時点で、デスクトップPCとノートPC、および「Mac」におけるChromeの利用シェアは20.6%で、同年初頭の16.4%から増加したという。ブラウザの利用状況を解析しているStatCounterによると、2014年、Chromeの利用シェアは50%を突破したという。また、現在、Chrome経由で行われるウェブベースの活動は、IEとFirefoxを合わせたものより多いという。
Internet Explorer:未だに尊敬を得られず
Microsoftは同社のフラッグシップブラウザについて、もう2006年のように謝罪する必要はない。IE担当ゼネラルマネージャーのDean Hachamovitch氏は2006年、「われわれはへまを犯してしまった」と述べた(Hachamovitch氏は先頃、Microsoftを退社すると発表している。同氏は1年ほど前に既にIEチームを去っていた)。
同社は「Windows 10」でのIEの処遇について、異常なほど沈黙を守っている。実際のところ、現行の「Windows 10」プレビュー版のIEはプレースホルダーのように感じる。2015年には大規模な変更が予定されている、とのうわさも根強い(米ZDNetの同僚であるMary Jo Foley記者が、「Spartan」という開発コード名が付けられたうわさの次期リリースについて2014年9月に記事を執筆しているので、そちらを参照してほしい)。
現時点で、Microsoftの最大の課題は、最新の標準に準拠しない古いIEバージョンとの互換性を維持することだ。同社は2014年、最新バージョン以外のすべてのIEのサポートを終了する計画を発表した。この方針を実施すれば、同社はライバルの大半と同等の立場に立つことができる。問題は、この方針が2016年1月まで実施されないということだ。
一方、IEは未だに開発者から敬遠されている。開発者は、古くなったが今もサポートされているブラウザのすべてについて、サポートを組み込まなければならないのだから、不快に思うのも当然だ。最近のIEのバージョンは標準への準拠が顕著に進んでいるが、IEでは正常に機能しないサイトが依然として存在する。サイトを設計した人間がChromeやSafariでの閲覧を想定しており、わざわざIEでテストしようとはしなかったことが原因であることが多い。