Hewlett Packard Enterprise(HPE)は12月2日、英ロンドンで開催した自社イベント「Discover London 2015」で、IoT戦略を明らかにした。新しい製品ラインとしてネットワークエッジに設置するIoTシステム「HPE Edgeline」を展開する。ここでは同社が3月に買収発表したAruba Networksの技術も活用する。
ビックデータブーム…だが投資効果は?
2日目の基調講演に登壇したのは、ソフトウェア担当執行バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのRobert Youngjohns氏。ビックデータの視点から語った。
HPE ソフトウェア担当執行バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー Robert Youngjohns氏
Youngjohns氏はまず、このところのビックデータブーム、Hadoop人気の影で、「実際のところ、企業はビジネスを変えるほどの洞察を得ていないようだ」と指摘をする。成果に結びついていないというのだ。「エンタープライズはビックデータの投資から10~15%の価値しか得ていない」とYoungjohns氏。これを改善するのがHPEが“エンパワー”として促進するデータドリブンのエンタープライズという。
具体的なステップは「データの価値の発見」「データ中心の土台構築」「ビジネス上の成果」の3ステップとなるが、まず重要なのはデータの理解だ。
Youngjohns氏によると、ERP、CRMなどの「ビジネスデータ」、センサなどが発する構造化された情報である「マシンデータ」、音声や写真などの「人間のデータ」の3つに分類できるという。
ビジネスデータでは、SAP HANA、Hadoopなどのリファレンスアーキテクチャ設計を進めており、たとえばHadoop向けのビックデータリファレンスアーキテクチャにより、容量は半減、性能は倍増する。分野としてはデータ管理、データのディスカバリとガバナンスなどとなる。
マシンデータは、ターゲットマーケティングキャンペーンのクリックストリームの情報だったり、予測メンテナンスを可能にするセンサだったり、セキュリティや脅威検出に利用できるログファイルからの情報かもしれない。
ビジネスデータとは異なり、そのものには価値がないが、収集してアクショナブル、便利なものに変えられる。ここでのポイントは、「IoT成功に必要なものはデバイス側ではない」とYoungjohns氏は述べ、次の3つのイニシアチブを発表した。
エッジでデータを収集・分析するIoTシステム「Edgeline」
1つめは、新製品ライン「HPE Edgeline IoT System」だ。最初の製品としてエントリレベルのEL10、その上位機種となるEL20の2製品の一部市場での提供開始を発表した。HPE EdgelineはIntelとの提携に基づき、Core i5とAtomをベースとし、OSはリアルタイムLinuxとなる。あらゆるタイプのセンサに対応する。
ネットワークのエッジに配置し、安全にデータを収集して分析し、中央の処理に回すかを決定する。「インリジェンスをエッジに持つことで、IoTに対する考え方を変えるものになる」とYoungjohns氏。将来的にはMoonshotシステムアーキテクチャをベースとするという。
「edgeline」上がHPE Edgeline EL10、下が同EL20