本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、富士通マーケティングの生貝健二 代表取締役社長と、アドビシステムズの佐分利ユージン 代表取締役社長の発言を紹介する。
「企業の発展には一歩先を見据えて新しいICT活用に取り組むことが重要」 (富士通マーケティング 生貝健二 代表取締役社長)
富士通マーケティングの生貝健二 代表取締役社長
富士通マーケティングが先ごろ、顧客企業を招待したプライベートイベント「富士通マーケティングフォーラム2016」を都内で開催した。生貝氏の冒頭の発言は、そのイベントの経営層向けセミナーにおいて主催者挨拶としてスピーチした中で、企業の発展に向けたICT活用について語ったものである。
生貝氏はスピーチの中でICTに対する時代の要請として、富士通グループの顧客企業を対象にした最近の調査結果から、次の3つのテーマについて説明した。
1つ目は「経営からのICTに対する要請事項」。調査結果では「ビジネスインフラとして業務に支障を与えない運用(事業継続)」「経営が判断を行うための情報のタイムリーな提供」「組織再編や業務再編に伴うICTの迅速な対応」が上位3つとなった。生貝氏によると、毎年同様の調査を実施しており、2012年度以降、順位は変わらないものの「事業継続への対応が引き続き強く求められているのがポイント」と語った。
経営からのICTに対する要請事項
2つ目は「情報システム部門からみた企業課題」。調査結果では「セキュリティ対策」「制度・法令への対応」「BCP(事業継続計画)/災害対策」が上位3つとなった。
同氏によると、2014年度と比べて2位と3位が入れ替わった。2位に浮上した制度・法令への対応については、2015年秋からスタートしたマイナンバー制度への対応や来年秋に施行予定の消費税率の引き上げ、それに伴う軽減税率への対応などが影響しているとみられる。また1位のセキュリティ対策については、「今後1~2年で対応優先度が高い」との回答が70.5%、「3~5年で中期的対応」が26.7%で合計97.2%に達していることが分かったという。