海外コメンタリー

米政府によるオープンデータの新たな取り組み「The Opportunity Project」

Alex Howard (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 編集部

2016-05-07 07:00

 「The Opportunity Project」はオープンデータに対するオバマ政権のアプローチの変化を表すものだ。この新しいイニシアチブの背景にある考えについて考察する。

ホワイトハウスで発表されたThe Opportunity Project
ホワイトハウスで発表されたThe Opportunity Project
提供:Alex Howard/TechRepublic

 コミュニティーが自らを把握して改善する上で役に立つツールが開発されるよう、そのために必要なデータが公開されれば、そうしたコミュニティーの動きは実現するだろう。少なくともホワイトハウスはそのように期待し、「The Opportunity Project」を立ち上げた。The Opportunity ProjectはObama政権の新しいイニシアチブで、政府データを全米国民のために公開する7年近くにわたる取り組みがベースとなっている。ホワイトハウスは、開発者が連邦政府や市当局のデータを使ったツールを構築するよう促し、意思決定者が必要な情報に簡単にアクセスできるようにしたい考えだ。

 それは決して新しい取り組みではない。連邦政府の元最高情報責任者(CIO)Vivek Kundra氏が2009年5月に「Data.gov」を立ち上げて以来、ホワイトハウスは米国のソフトウェア開発者がオープンガバメントのデータを使用するツールを構築するよう促す試みを行っている。John F. Kennedy元大統領の言葉を言い換えると、彼らは国民に対して、国家が自分のためにどのようなコードを記述してくれるかではなく、自分が国家のためにどのようなコードを記述できるかを考えるよう求めた。気象データとGPSデータの情報が一般市民に提供され、サードパーティーがそれを利用するサービスを構築するようになったことにヒントを得たObama政権は、大量の政府データをオンラインで公開し、技術革新の扉を開くことに注力している。

 そうした目標への取り組みの歩みは断続的なものだったが(品質およびData.govの問題、業界やメディアが求めるデータセットを公開する政治的意思の欠如によって前進を阻まれてきた)、政権はいくつかのことを学んだ。おそらく、Barack Obama大統領もそのはずだ。

 米政府チーフデータサイエンティストのD.J. Patil氏によると、The Opportunity ProjectのアイデアはObama大統領からもたらされたもので、Obama大統領の世界観にはコミュニティー主催者としての経験が反映されているという。

 Obama大統領は3月初旬のウィークリーアドレス(毎週の定期演説)で「技術革新の精神」について話し、電球やインターネット、電報を作り出した米国の技術革新者を賞賛した。

 「米国の創始者たちは、私たちを信頼して、この自治というシステムへの鍵を与えてくれた。なぜなら、自治は私たちの意見の相違を解消し、共有する難題を解決するために私たちが有する最高のツールだからだ。自治をどれだけ発展させられるかは、私たちにかかっている」(Obama大統領)


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