ただ、ITの仕組みだけでなく組織体制も刷新するとあって、大掛かりな印象を受ける。果たして確かな効果を見込めるのか。大城氏によると、emeraldについてはIPcenterの適用をはじめとして2013年度より社内で試験導入してきており、すでに最大40%の運用工数の削減効果を実証したという。思惑通り、運用の世界にイノベーションを起こせるか。注目しておきたい。
「企業はビジネス価値が不明確なデータに実効性のある情報ガバナンスを施すべし」 (ベリタステクノロジーズ 高井隆太 常務執行役員)
ベリタステクノロジーズの高井隆太 常務執行役員
ベリタステクノロジーズが先ごろ、企業の情報管理に関する調査結果をまとめた「データバーグレポート」の日本語版を発表した。同社常務執行役員でテクノロジーセールス&サービス統括本部セールスエンジニアリング本部長兼コンサルティング部長を務める高井氏の冒頭の発言は、その発表会見で、企業における情報管理の重要なポイントについて語ったものである。
高井氏によると、同レポートの調査目的は、企業が保有しているデータについてどのように認識しているかを明らかにし、それらをよりビジネス価値のあるものとして活用できるようにすることにある。調査対象は、日本の100人を含む世界22カ国2500人のIT意思決定者。レポート名の「データバーグ」とは、データが氷山(アイスバーグ)のように積み上がって氾濫していく状況を指す造語だという。
企業における“データバーグ”の現状
同レポートによると、世界の企業は自らが保有しているデータのうち、ビジネス上の価値が明確な「クリーンデータ」の割合は15%(日本は12%)、価値がない「ROTデータ」は33%(同33%)、価値が不明確な「ダークデータ」は52%(同55%)だと認識していることが明らかになった。ROTはRedundant(冗長)、Obsolete(陳腐)、Trivial(無駄)の頭文字を取った造語である(図参照)。
こうした状況から、同レポートでは、データを適切に管理しないままだと、ストレージなどを含めた無駄なコストは2020年までの累計で374兆円に達すると推算している。
さらに、高井氏は日本企業の状況を踏まえ、「日本企業は迅速に社内のデータバーグを管理して、ビジネス上の価値とリスクをしっかり認識する必要がある。日本で現在この作業に着手しているのは16%にすぎない。とりわけ、価値が不明確なダークデータに対して実効性のある情報ガバナンスを施すことが急がれる」と指摘した。冒頭の発言はこのコメントから取ったものである。
今回の調査結果を受け、ベリタスでも情報ガバナンスソリューションの拡充を図っているが、この問題はITによる対策もさることながら、まずは経営層が強い危機感を持つことが非常に重要だと感じる。高井氏によると、そうした経営層へのアプローチにも注力していく構えのようだ。今後の同社の取り組みに注目しておきたい。