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自動化するサイバー攻撃に他社との連携で対応--パロアルトネットワークス - (page 3)

小船井健一郎 山田竜司 (編集部)

2016-07-28 07:00

なぜ各国の政府と連携するか

――パロアルトネットワークスはホワイトハウスやダボス会議などに関わっていますが、なぜ政府と連携するようになったのか。

 6年前にオバマ大統領から私へ、NSTAC(国家安全保障通信諮問委員会)のメンバーになってほしいと指名されました。限られた企業のCEOで構成されたNSTACは、緊急対応や国家安全保障に関わるサイバーセキュリティの課題についてアドバイスするチームです。2年ほどは副会長を、各1年半は会長を務めています。そのため、サイバーセキュリティの課題について、ワシントンDCの方々と頻繁に話しする機会に恵まれています。

 具体的な米国政府との取り組みはさまざまです。まず各省庁がわれわれの商品やサービスを使ってくれています。つまり、顧客の立場ですが、世界各国で同じことが起きています。また脅威情報を共有するために、民官の連携をとるお手伝いをしています。責任をもって脅威情報を共有することで、システム自体が向上することが期待できます。

 なぜ政府と民間企業の連携は必要になってきたのか。それはサイバーセキュリティの対象となりえるような資産は、ほとんどが政府の管轄外にあるからです。もちろん、国の資産を守るのは政府の責任です。そのミッションを遂行するためには、民官の連携が必要になってきます。

――世界各国の政府にシステムが入っているが、政府間で守るべき情報は担保されているのか。

 それには輸出規制という米国の政策に従っています。そのため、国によっては私たちのテクノロジを売れません。それが基本です。もし私たちの商品を使ってくださる顧客がいるときにも、その政府にテクノロジを特化することはありません。

日本のセキュリティの未来

――特に日本における具体的な事例はあるか。

 特に日本に多い攻撃の傾向はありません。ただ攻撃が日本向けにカスタマイズされている傾向はあります。例えば海外から来ているが、自動翻訳でないきれいな日本語になっている。そうした日本を攻撃するためのカスタマイズはされています。

 2020年に東京五輪がありますが、今のうちから対策することが大事です。そのためには、古いテクノロジではなく、完全に仮想化できると実証できるような 、新しいテクノロジを使うことです。

 オーケストレーション、オートメーション、クラウドを密に連携し、データやエンドポイントをしっかりと守れるテクノロジが望ましいです。将来的なサイバーセキュリティは、こうした要素を網羅できなければなりません。私たちのプラットフォームは、今でもそれを実現できるし、これからもその方向で進めていきます。

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