米Microsoftは米国時間の7月10日から1週間にわたり、カナダのトロントで年次パートナー向けカンファレンス「Microsoft Worldwide Partner Conference 2016」(WPC)を開催している。2日目の基調講演では、クラウドやOffice 365など主力となるソフトウェア製品の動向を事例を交えてパートナー向けに紹介した。
Microsoftのエグゼクティブバイスプレジデントで、クラウド+エンタープライズグループのScott Guthrie氏
2日目のキーノートに登壇したのは、Microsoftのエグゼクティブバイスプレジデントで、クラウド+エンタープライズグループのScott Guthrie氏。
Guthrie氏は「クラウドがパートナーのビジネス機会増を加速している」とし、売上高は2倍、経常利益は1.8倍、SaaSの粗利益は65%以上に達しているとの数字を交えてアピールした。
パートナープログラム「Cloud Solution Provider Program」において、サービス価格を設定し、顧客への直接課金やカスタマーサポートにおける最初のコンタクトポイントになっていることなどを紹介。「Office Store」「Azure Marketplace」「Windows Store」などのマーケットプレイスを通じて、パートナーが持つ商品やサービスとより多くの顧客を結びつけるとも話している。
また、パートナーがクラウド提供するソフトウェアを検索するサービス「App Source」の提供を開始したことも紹介。ユーザー企業はさまざまなアプリケーションを試用できるようになり、一方でISVやシステムインテグレーターなどは、顧客との接点が増やせるとした。
Guthrie氏は「パートナーのビジネスを成長させるための製品」として、いくつかの新製品にも触れた。「Secure Productive Enterprise」「Enterprise Mobility + Securitiy E5」「Windows 10 Enterprise E7」「Dynamics 365」の4つだ。
クラウドを進める上でのキーワードは「データインテリジェンス」。データを活用し、何がどうして起きたのか、今後何が起きるのかを見通すことだとする。
データベースなどのトランザクションデータに加え、非構造化を含めたビッグデータ、機械学習、アナリティクスを含め、データ全体を意味のあるインテリジェンスなものにしていくための基盤として、Cortana Intelligence、Azure IoT Suite、Power BI、SQL Server 2016などを位置づけている。
さらに、集めたデータを7月6日に発表した、CRMとERPを組み合わせたクラウドサービス「Dynamics 365」やOffice 365、数分で新たなアプリケーションを作り出すことを可能にしたエンタープライズサービス「PowerApps」を活用することで、より意味のあるデータ活用を進めていく考えだ。
このほか、Guthrie氏はモバイルアプリケーションの開発の重要性を指摘。iOS、Android、Windowsという異種環境を分けることなく構築できる「Xamarin」について、「.NetとXamarin、Azureが組み合わさることで可能性が広がる。開発者には愛され、エンタープライズユーザーからは信頼されている」と強調した。