3ステップでトランスフォーメーションへの準備を
中でもIT業界を様変わりさせているトレンド、クラウドについては「パブリッククラウドは成長してきたし、今後も続く」としながらも、「ハイブリッドクラウド」が正しい道になるとした。「一部のワークロードでは、パブリッククラウドでは競争優位性が図れない」からだ。
そのようなことから、「複数のパブリッククラウドとプライベートを組み合わせたハイブリッドクラウド」が主流になると見る。「クラウドはITの運用モデルであって、場所ではない」とDell氏。
ハイブリッドクラウドに向けた3ステップとして、Dell氏はデータセンターのモダン化(1)、ITのすべてのプロセスを自動化(2)、ITオペレーションのトランスフォーメーション(3)を紹介した。技術としては、(1)のモダン化がDell EMC、(2)の自動化がVMware、(3)のトランスフォーメーションがVirtustreamとなる。
例えば、(1)では同日、Dell EMCからDellのPowerEdgeサーバを搭載したハイパーコンバージド製品「VxRail」アプライアンス、上位の「VxRack System 1000」など、複数の製品が発表されている。Dell氏は、ストレージやサーバでナンバーワンであることに触れながら、データセンターを効率化し、性能と信頼性を高めることでコストを節約でき、これをデジタルトランスフォーメーションに回すことができるとした。
だが、ITのトランスフォーメーションだけでは不十分だ――職場や人(ワークフォース)のトランスフォーメーションも必要だという。ここでDellブランドで展開するPCなどのクライアント事業が重要となる。PC分野でDellは15四半期連続でシェアを増やしている、とDell氏。「PCは今後もわれわれのミッションの中核となる」とDell氏、インフラとクライアントの両方でリーダーであることから、エコシステム全体でイノベーションを拡張性のある形で実現できるとした。
仕上げはセキュリティだ。つながる端末が増えたことで、攻撃先や侵入の入り口となるところも増えている。残念なことに、サイバー攻撃は高度になり、頻度も上がっているという現実もある。セキュリティ対策もビジネス主導、情報主導、リスク主導になる必要があるとして、RSA、SecureWorks、VMwareのNSXやAirWatchといった技術が支援できるとした。同社では毎日2兆件のネットワークイベントを確認しており、すぐに対応できるようにしているという。
このようにDell氏は会場に集まった約8000人の顧客やパートナーに向かってEMCが合体した世界を描き、統合のメリットを強調した。