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2017年のFinTech--イノベーションを実現するための6つの論点 - (page 2)

村上隆文(アクセンチュア戦略コンサルティング本部)

2017-01-01 08:00

リバンドリングの意味--業際の再定義

 非金融企業が自社のサービスと金融サービスを組み合わせ、全く新しい顧客体験を提供する「リバンドル」に関して言えば、より根源的には顧客提供価値を一変することで市場・業際を再定義し、従来の金融市場の枠組みを超えた戦い方で挑むプレーヤーの影響が大きかろう。顧客ニーズと行動が「銀行」「証券」「保険」といった業際を再定義し、伝統的な金融機関はそもそも自らの存在してきた市場そのものを失う恐れがある。

 日本国内でも楽天グループ、イオングループ、LINEなどをはじめ、金融を含めた一体型の顧客サービス提供により、土俵を買えた戦いで実績を上げる企業が増えつつある。

 イオングループは、イオンやイオンモールに代表される商業施設としての位置づけを日々進化させ、日用品・生活雑貨を出発点にフードコート、ドラッグストア、シネマなどの生活シーンでのカバー範囲を広げている。最近では旅行、住宅販売、冠婚葬祭などのライフイベントに関連する機能まで提供している。これに加え、住宅ローンや会員証をかねたクレジットカードなど、イオングループの業容に親和性の高い金融ビジネスも付加しつつある。

 これによりイオンの商業施設では、顧客が訪問した際にワンストップで全ての生活ニーズ、ライフニーズを満たすにとどまらず、カードと連動した割引やローンの特別金利などの経済的メリットまで享受できる「場」を作り上げている。もはやそこには「住宅購入を決めたら銀行にローンを申し込みに行く」発想は皆無であり、「イオンという『場』に顔を出せば、金融を含めて全ての用事が済む」という価値で顧客を引きつけているのである。

 同様に、楽天グループは「楽天経済圏」と呼ばれるECモールを中核に楽天カードと利得性の高いポイント還元により、「楽天で全てを済ませれば、ますますお得になる」というメッセージを発信している。LINEについては、コミュニケーションツールとしての位置づけから、ソーシャル上で「音楽」「ゲーム」「お金」などのやり取りできる「ソーシャルプラットフォーム」を形成しようとしているように見える。ソーシャルでつながった個人同士が、現実世界でできることをソーシャルの中でもできることが訴求ポイントである。

 これらの企業/グループは金融ビジネスを本業に据えているわけではないが、顧客は彼らが提供する価値に着実に反応し、従来なら伝統的な金融機関に回っていたであろう収益の向く先を確実に変えつつある。こういった多様な提供価値で戦いを挑むプレーヤーに対し、金融機関はどのような方向性の付加価値を提供し、肩を並べていくのかが問われている。

 すなわち、おのおのの金融機関が従来のビジネスを否定してでも今後提供すべき価値を自問し、「新たな金融機関像」を定義すること。また、そのビジョンに向けた継続的な自己変革が求められている。

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