「旅の体験や知識を共有する」。AI(人工知能)を駆使して、そんなサービスを提供するのが、2016年7月に設立したディープス テクノロジーズだ。個々人の行動や想いを収集、分析するスマートフォン向けアプリとプラットフォームを用意し、2018年に100万人が利用するサービスに育てる。
深層学習を駆使するディープス テクノロジーズ
多くの人をターゲットにする規格商品から1人ひとりが求める“個”の旅へと需要がシフトしていく。ディープス テクノロジーズの代表取締役でCEO(最高経営責任者)を務める宮本章弘氏はこう予想し、そんな情報を検索、収集するスマホ用旅行情報サービスの提供を開始した。
最近はソーシャルネットやブログなどに、たくさんの旅情報や体験が書き込まれており、探す目的が明確なら、容易に欲しい情報にたどりつける。だが、「こんなところに行ってみたい」「あんな体験をしてみない」といった漠然とした要求を検索するのは難しい。
そこで、ディープスはいわば、ニッチな旅を探し出すスマホ向けアプリを開発したのだ。例えば、母親が上京するので、「どこに連れていこうか」と考える。母親に行きたいところを尋ねてから、その情報を基に計画を立てる。ノートに走り書きした行程メモは、実行したらゴミ箱に捨てる。そんなメモをたくさん集めて、同じようなことを考えている人が共有し、より興味深い体験ができるよう計画作りを支援する。
具体的には、AさんやBさんがどんなキーワードを使って、何分見たのか、どんなコメントを書いたのか、どんな価値観を持っているのかといった情報を収集していく。それらの行動分析から同じ趣味嗜好を持っている人を探し出し、体験と知識を共有する。
そのベースにする技術は、米Microsoftのディープラーニング(深層学習、DL)に、ディープスが不足する機能を付け加えたもの。例えば、趣味嗜好に一致するデータのみを表示し、興味のない情報や広告を表示させない。ソーシャルネットに書き込んだ情報の信憑性も確認する。例えば、不適切な画像や侮辱的な発言をしていないか、コメントがネガティブかポジティブなのか、などをスコアリングしていくことで、信頼を測れるようになるという。