とはいえ、Microsoftは組み合わせると強力な武器となり得るクラウド資産を数多く有している。MicrosoftがAWSのライバルなのは明らかだが、単純な比較はできない。Azureはハイブリッドクラウドとしても利用できる。つまり、「Windows Server」からAzureへの移行は大規模なものにならず、「Active Directory」がクラウドへの道を開く扉のような存在となっている。同社の最高経営責任者(CEO)Satya Nadella氏は以下のように述べている。
我が社の法人向けクラウドの年間売上高ランレートは140億ドルを超えており、2018会計年度における200億ドル達成という目標に向けて順調に推移している。
顧客は以下の理由でMicosoftのクラウドを選択している。顧客が欲しているのは、世界各地に展開し、エンタープライズ級のニーズに応えられる大規模かつ信頼に足るクラウドプロバイダーだ。そして、クラウドサーバだけでなく、ハイパースケールサービスの構築に対応できるハイブリッドなサポートも欲している。また、IoTやエンタープライズアプリ開発、先進的なアナリティクス、人工知能(AI)といった分野を横断するITシステムを構築するためのレベルの高いサービスも欲している。さらに最も大事な点だが、最高情報責任者(CIO)や最高戦略責任者(CSO)、ビジネス運営責任者(BDM)、開発者らすべてが、「Windows 10」におけるクラウドのセキュリティと管理や、Office 365、Dynamics 365、「Enterprise Mobility」、Azureを網羅するIT資産すべてからもたらされる運用の整合性や生産性、セキュリティといった利点を実感している。
これ自体は素晴らしいことだが、筆者はAzureの売上高について、IaaSベースでの四半期及び通年での具体的な数値を明らかにしてほしいと考えている。透明性評価のレベルはCと言ってもよいだろう。
IBM
IBMは第4四半期におけるXaaSのランレートが前年同期比63%増の86億ドルだと述べている。IBMのXaaSのランレートにはSaaSやIaaS、PaaSが含まれている。同社によると第4四半期のXaaSのランレートは、コグニティブソリューションセグメント(「IBM Watson」)が18億ドル、グローバルビジネスサービスセグメントが11億ドル、テクノロジサービス及びクラウドプラットフォームセグメントが58億ドルだったという。IBMのクラウド分野における透明性を評価するうえで、コグニティブコンピューティングとクラウドの関連に応じてそれらがまとめられている点に目を向ける必要がある。
透明性評価のレベルはBだ。同社がクラウドとWatsonに軸足を移しつつあることを推測できるだけの十分な情報は与えられているものの、さまざまな部門にまたがる関連テクノロジとマーケティングの動きを追いかける必要がある。